【ダンウォ】図書室で出会ったあの子

◇No9 ページ11

「あ〜、いたぁ〜」

　また、聞いたことのない声が画面から聞こえた

　背丈は少し小さめ、あの格好からして、メカニックだろう


「メンテナンスするからぁ、LBX、貸してぇ〜」


　……何なんだ、この話し方

　ぶりっこ口調？と言うやつだろうか


「メンゴ〜。こいつが足止めしなければ、すぐに行けたんですけど〜」

　そう言ってチラッとAを見る

　……Aは堂々と立っている


「あ〜、もしかしてぇ〜、前に言ってた子ってぇ〜？」

　ぶりっこは、Aを指差す

「あぁ、こいつ」

　やる気の無さそうな先輩が、そう言う


「あぁ〜。この子ぉ！

　この学校のぉ、生意気でぇ、役立たずのぉ、お荷物さんっ！」

　ニコニコと笑っているが、その顔は『さっさと消えな』とでも言っているかの様で……。

　俺も見ているだけで、ゾッとした


「大会でぇ〜、三回優勝しないとダメなのにぃ〜、優勝してないでしょぉ〜？」

　は？どういうことだ……？


「私は入学条件を満たしています」

「じゃぁ〜、何で記録が残ってないのぉ〜？」

「ネット検索しても、出てこないんですけど〜！！」

　漢字の変換ミスで出てこなかったんだろ


「あれぇ〜？正論過ぎてぇ、なぁ〜んにも言えないのぉ？」

　俺には、悪魔にしか見えない

　画面ごしなのに、空気がこちらに伝わってきているみたいだ……


「入学許可は降りてます」

「まぁ〜た、嘘ついちゃってぇ〜。

　嘘つきだからぁ〜、仲間にぃ、裏切られるんだよぉ〜？

　あとぉ、プレイヤーでぇ、しかもメンテナンス出来るからってぇ、

　調子に乗ってるからぁ、見放されるんだよぉ〜？」

「自分で気付かないとか、チョ〜ウケル！！」

　……先輩達は好き勝手、言いたい放題に、Aをけなしていた


「……いい加減、帰ろう」

　さっきから、黙ってやり取りを聞いていた、第六小隊の一人がそう言った


「……もうさっきから、十分は経っている」

　なんか、他の奴より、まともな人


「わかったぁ〜。帰ろっかぁ〜。

　こんな自己中なぁ、お子ちゃまはほっといてぇ〜」


　俺は、ぶりっこの方が自己中に見えるんだけど

「いつものとこ、寄る？クーポン券あるんですけど〜！」

「行きたぁ〜い！！あ、寄り道してもいぃ？」

「別に」

　第六小隊は立ち去って行く


　……ここで映像は途切れた

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