ひかる２

人見知りするし◆13.04.20 ページ17

＊

単独を終えて、

桜が散り始める頃に、
俺たちは進級して、中学三年生になった。

始業式、入学式、
スポーツテスト、身体計測、年度初めのテスト。
ポカポカ、あったかい空気に心を弾ませて、
単独が終わってから一、二週間の間、
俺と人1はほとんど踊ってみたに関わらず、普通の学校生活を送った。

でも、踊ってみた関係の人と、
週末に遊びに行ったりすることは増えた。
もちろんメンバーだけじゃなくて、
単独のお手伝いしてくれたキヨくんとか、えーすけとか。

でも、人1はそこにむすめんのメンバーがいないと、あんまり外出しようとしなかった。
イベントで東京に来た、りりりちゃんと遊びに出かけるくらいで。
みんな毎回、Aちゃんもおいでよ？って言ってくれるんだけど、
家で俺が誘っても、人見知りするし、って首を横に振って。


そのうち、超パが近付いてきた。
すなわち、二回目の単独が近付いてきた。

演目はこの間のやつと変わらない。
一週間前くらいから集中的に練習を始めた。
超パは、前々からちょっとだけやってたラブレボと、りりりちゃんと踊るやつ。あとは全員演目。
振り入れの早さには自信がある。

練習で、久々にあったメンバー。
特に何も変わらないけど、元気そう。


二番くんやげるたんと雑談をしながら、靴を履く。
いつも通り、スタジオに入ってきた途端、人1は関西組に腕を引っ張られて、
今は四人で騒いでいる。

練習開始。
みんなそれぞれ自宅で復習して来たのか、
全体練習はスムーズに進んだ。

先生から注文が入ったりしながら、
初披露のVoyage の練習。
俺と白服さんの二人曲だけど、
バックダンサーとして、のっくん、ぷんちゃん、げるたんも一緒。

お昼の休憩時間、

みんながお昼ご飯を準備し出した頃に、
のっくんのスマホが鳴った。
元気に騒ぐみんなから離れて、スタジオの端でのっくんが、話しているのが聞こえた。

うん、わかったから。
また飲むん？…うん、いいで。
じゃあ、今練習だから、切るで？

何となく、ちょっとうっとおしそうに。
「…のっくん、電話誰から？」
のっくんはパタパタとこっちに戻ってくる。
「とみたん。なんか最近、仲間はずれみたいで寂しいんやって」
「……ちょっと冷たすぎない？」
「…Aちゃんから聞いてない？」

「え？何が？」
「えっと…まあ、来週のお楽しみやな」
首を傾げる俺に、笑いかけるのっくん。
何の話だ？

その後人1に問い詰めたけど、
結局、何も教えてくれなかった。

見ての通り◇13.04.29→←それとね◇13.03.24

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