不安でいっぱい◆13.04.29 ページ19
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Birth新宿に到着して、
タクシーから、荷物と共に降りた後、
人1が、母さんに呼び出された。
なんか嫌な予感がして、呼ばれてないけどついて行く。
楽屋の外の廊下で立ち話。
「あ、あおいも来たの?まあ、いっか…」
そこには母さんの他に、白服さんとケースケ先生もいた。
「…なんかあったの?」
「先生に、用事ができちゃって…」
「えっ」
「レッスンの代行なんやけど、俺以外にできる人いないみたいでさ」
人1と顔を見合わせる。
「え、今日はずっとでれないってこと?」
「ううん、ラブレボまでは出れる」
「…ってことは…」
「かしましには、出れない」
人1が呟いた。
白服さんが頷く。
「どうすんの?ケースケ先生のパートだけとばすとか、できないよね?」
「代わりに誰かに出てもらうしかないのかな…?スタッフさんの中から、出れるような人に頼めないかな」
人1が母さんを見上げる。
「…うん。白服さんと相談して、Aに頼もうってなったの」
数秒の沈黙。
固まる人1の横で、俺が人1より先に、首を横に振った。
「こんな突然にだなんて、Aも困るよ…ね?A、そうでしょ…?」
「元々、ケースケ先生も歌わずに、にーちゃんとぷんちゃんに歌ってもらうって流れだったでしょ?Aもそれでいいから、何とか出て欲しいと思ってるの」
「でもさ、ステージに出たら突っ立ってるだけってわけじゃないし…」
「Aには、他のメンバーよりも経験があるから」
「むすめん。のファンの前にはほとんど、姿なんて見せたことないじゃん!」
「Aに聞いてるの」
ぴしゃり、と言い放たれて、はっ!と口を噤む。
先生と白服さんがくすくす笑う。
「歌詞なら、手空いてるみんなで考えるから。今日は夜公演だし、まだ時間ある」
「…A?どうするの…?」
人1を見たら、俯いていた。
目線がキョロキョロしてる。動揺の証拠。
でも、ぱっと顔を上げた。
「うん、やる」
そう、はっきりと言い切って。
「うそ…A、本当に無理しなくてもいいんだよ?」
「大丈夫だよ、あおいは自分の心配だけしてて」
人1はキャリーケースを引きずりながら、
一人で楽屋に入っていった。
その後ろ姿を、扉がパタン、と閉まるまでぼーっと見つめた。
扉の向こうからは、みんなが元気に騒ぐ声が聞こえる。
…ねえ、人1が、ストレスで、
本番、ステージにいられなくなったら、どうするの?
不安をぶつけようとしたけど、母さんも白服さんも、
不安でいっぱい、って感じの表情だった。
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ひな(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!!申し訳ありません、うっかり忘れてました…(_ _)更新頑張ります、よろしくお願いします…! (2018年10月7日 19時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 楽しみにしてます!これからも更新頑張ってください〜!あ、あと(人1)の変換ないので作るか全て(名前)に統一して下さるとありがたいです! (2018年10月7日 16時) (レス) id: aa9580c9fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2018年10月6日 5時