【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ21)

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17話｢それはきっと、確固たる決意。｣ページ21

｢……『花は散り、そこには枯葉しかないのでしょう。今宵の月は山を照らすようですね。いずれ花を再び咲かせましょう。『黒薔薇』アイリスより、愛しきハイドレンジアへ。』……以上が『黒薔薇の一族』からの返事だよ｣

大広間の1番奥、少し段になって高くなっているそこに立ったまま、僕はその文章をそのまま告げた。当然これでは伝わっていないことも分かっているから、一言付け加える。

｢つまり、『ハイドレンジアが依頼を受けることを正式に了承する』ということだ。おめでとう、諸君。あなた達の依頼は僕が正式に受け持つことになった｣

安堵したような表情になり、周囲の者にやったね、よかった、なんて声をかけ合う刀剣達。しかし、これではいけない。これは言わなければいけない。

蛍丸と目線を合わせて、こくり、と頷いた。

｢いいかい、これはスタート地点に立っただけに過ぎない。そして、『的(ターゲット)』を撃ち抜くにはあなた達の協力が必要だよ。そこはよおく理解してね｣

冷静になったようでしんと静まり返り、再び僕を見据える彼ら。

｢『的(ターゲット)』の情報は、現状あなた達しかほとんど持っていない。故に、あなた達には最大限僕に協力していただかなければならない。この意味は分かるね｣
｢ああ、当然だ｣

山姥切が答える。……彼は、この本丸の初期刀だったそうだ。だから発言権があるのだろう。今この場にも、僕に対し最も前面の、最も中央に座している。

｢理解してくれているなら何よりだ。さあ、きみたち(・・・・)｣

すうっと息を吸い、吐いて、一言告げた。

｢一緒に殺そうか。『裏切り』を｣

***

蛍丸が離れに運んでくれた荷物をいくつか漁る。その中から、1つのソーイングセットを見つけた。

｢ああ、お母様。よくお分かりで｣
｢主さん、それは？｣
｢審神者部屋を開けるためのものだよ｣
｢え？裁縫道具にしか見えないけど｣

ぱか、と開けたそれを見て、不思議そうに蛍丸は言う。蛍丸も僕という人間(裏社会の存在)の刀剣だ。説明して、分かってもらわなければ。

｢いいかい、蛍丸。僕は暗殺者だ。そしてその暗殺者の配下(刀)にあなたはなった｣
｢うん｣
｢と、いうことはだ。これから先、あなたはここの誰よりも裏社会に触れることになる。1つずつ、覚えていくんだよ。それとも裏社会に触れることが怖いかい｣
｢そんなことはない。俺はどこまででも主さんについて行くよ｣

よかった。覚悟はあるようだ。