【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ10)

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11色目｢完全に油断しきっていたが薬研は私の天敵だった｣。ページ10

｢……終わったァ〜〜!!!!!｣
｢やったぁ、ドーナツが食べれる！｣
｢こら、ご飯の後だよ｣
｢無事終わって良かったな、大将｣
｢僕も、主さまの役に立ててよかった｣

日がそろそろ完全に沈むかの頃、ようやく手入れ部屋の修繕が完了した。まさか1日で終わるとは思わなかったよ！いやァ刀剣男士達の体力に感謝だ。

ふっと気が抜けたのか、隣の薬研にぽすっと体を預けてしまった。

｢おっと大将、お疲れかい？｣
｢当たり前だろうがァ〜……ほんとに終わって良かった〜〜……｣
｢はは、だがこれで終わりじゃないぜ？まだ本丸は広い｣
｢それくらいは分かってる｣

どうにもムッとして、少し強めに言い返した。……が。

｢はは、そんなムスッとした顔も可愛いな、大将は｣
｢……は？…………は？｣

かっ……かわっ……かわっっ……!?!?!?

｢ばっ……馬っ鹿ぁぁぁぁぁ!!!!そういうことを!!!!軽々しく!!!!言うなぁぁぁぁぁ!!!!!!!!｣
｢おっと、気に触ったか、すまん｣

ぱっと両手をあげ、謝る薬研。でも違う、気に触ったとかじゃなくて……そうじゃなくて……!!!! うううう完全に油断してた……!!!!

私が顔を真っ赤にしてあせあせとしていると、くいっと袖がひっぱられた。

｢ねえ、早くご飯作りに行こうよ。じゃないとドーナツ食べれないんでしょ？｣
｢ん？ああ……そうだな、作りに行くか｣

ぐい、と伸びをして腕を下ろし、そのまま厨に向かう。いつぞやのデジャヴか、幾人もの刀剣男士が私の後ろを雛鳥のようにくっついてきた。……と思ったら。

｢あ、いち兄は来なくていいよ。俺達だけでお手伝いするから｣
｢……え？包丁、しかしそれでは｣
｢いいの！いち兄は部屋で待ってて｣
｢え？包丁、いくらなんでも危険人物(私)がいるのに一期をお払い箱にするのはよくないぞ！｣
｢いーの！ね、信濃兄さんもそう言ってるから！｣
｢お、俺!?ま、まぁいいけど……｣
｢いいの!?!?｣

呆気に取られるまま、一期だけが兄弟たちに追い出される形で夜ご飯作り(クッキング)が始まることになった。

｢違う違う!!!!猫の手!!!!猫の手!!!!あっ待って骨喰それだと指切り落とす!!!! こら鶴丸!!!!まな板は洗えって前も言ったろうが!!!!｣

……まさかまたこうなるとは。やはりと言うべきか、みんな料理に関しては不器用であった。まあしかしそれに関してはこれから覚えていくだろう。……多分。うん。そうであって欲しいんだが。