【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ5)

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6色目｢久しぶりとは言うが日数換算だと1週間くらいな気がする｣。ページ5

金属片を集め、加州は｢墓｣にひたすら運ぶ。廊下の掃除は岩融と今剣が中心に。その他の場所や部屋は粟田口と第一部隊でどうにかしていた。

私はといえば、取り外した古く脆い戸をバキバキにへし折りぶち壊しながら、手軽に運べる木片にしている。いやもう本当に驚かれたよ。みんな二度見するんだもん。私の身体能力がおかしいのを全員知ってるはずなのに二度見するんだもん。もう恥ずかしくてたまらない。

｢あっ、ここ硬いな……おりゃ｣

手で戸を支えたまま、戸の端を蹴りつける。するとバキッと音がして戸がそのまま割れた。
そしたらほらもうみんな見てくる見てくる。見るな。私を見るな。自分達の作業に集中してくれ。頼むから。

｢ハハッ……こりゃ戸に穴を開けたってのも納得だな｣
｢俺はこの目で見たんだよ。マジで開けたんだよ。足で｣
｢その話をするな!!!作業に集中しろ!!!｣
｢はいはい、分かったよ大将｣
｢なー主、そんなにこの話広められたくないのかよ。絶対面白いネタになると思うぜ｣
｢ネタになるならないの話じゃねェんだよ！私の羞恥心の問題だ羞恥心の！｣

もういいから木材はこっちに持ってこい！と叫ぶと、そろそろと数人が木片を持ってきた。
私はそれを荷車にポイポイと放り込んでいき、よっと取っ手を掴む。

｢じゃァ私はこれを捨ててくるから、しばらくその場はお前らに頼んだぞ｣
｢ああ、任せてくれ｣

ガラガラとゴミ捨て場に持っていき、そこにまたぽいっと木片を投げていく。……やっぱり肉体労働はしんどいな。いくら異常身体能力してようが、｢身体能力が高い｣と｢肉体労働ができる種類の体力がある｣は意味が違う。

木片を捨て終わり、また荷車をガラガラと動かしているとばったり小さな影に出会った。

｢あっ……｣
｢おっ……と。小夜？久しぶりだな、元気にしてたか？｣
｢い、一応は……｣

小夜だ。随分と久しぶりに会ったような気がする。いや、実際久しぶりっちゃあ久しぶりなんだが。
手には何故か、柿を持っていた。

｢その柿は？｣
｢あ……江雪兄様にと思って。その……あなたは？その荷車は……｣
｢ああ、これか？これは今手入れ部屋の修繕をしていてだな。それで脆くなった木材類を捨ててきて、今からまた帰るところなんだ｣

まじまじと荷車を見ている小夜の様子からは、最初に会った時ほどの私への怯えはあまり感じない。……思い切って、聞いてみるか。

｢なァ小夜。部隊に入るかどうか、江雪と話し合ってくれたか？｣