【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ38)

今日:3 hit、昨日:29 hit、合計:7,547 hit

36色目｢ところでルジャンドルの定理って一体何？｣ページ38

***
｢喘鳴なし、気管支の炎症も落ち着いたね。気道もちゃんと広がってる。退院してよし！｣
｢あざーす！｣
｢あざーすじゃなくてありがとうございます｣
｢ありがとうございます。いやまじでありがとおっちゃん｣
｢おっちゃんじゃなくて先生ね｣
｢せんせぇ〜｣

幾度目か分からないやり取りをして、私はついに退院の許可を貰えた。後ろにはアニキがいる。今日が退院になるだろうと思い、荷物を引取りに来てもらったのだ。

｢よかったな〜妹〜｣
｢ほんとに良かったよまじで｣

わしゃわしゃと私の頭を撫でるアニキに照れくさくなりながら返事をする私。その後アニキはおっちゃんに向き直り、聞いた。

｢先生。最近は奴ら(・・)の噂、聞いてませんか？｣
｢いや、最近は聞いてないね。ほんとに君たちも大変だよね。命が危なくなったらいつでもウチに駆け込んできていいからさ｣
｢本当に、ご迷惑おかけします｣
｢いーのいーの、僕も好きで君たちの相手してんだからさ。うちの娘息子と同じくらいの歳だし、可愛がっちゃうんだよね｣
｢えっおっちゃん子供いたっけ｣
｢いるよ！ほら！デスクに写真貼ってあるでしょ！これ全部僕の子供たちだから！｣

ごめんって、なんて言いながらアニキを見る。退院準備だ。

……ところで。なあ、｢───｣。お前のその記憶力に頼りたい。今いいか？

『今〜？今ルジャンドルの定理をいかに分かりやすく解説するか考えてたとこなんだけど…まァいいや、何が知りたいの？』

私が川住第一中学1年2組だった時の、3年4組の男子生徒の名前だ。当時の特徴は茶髪……いや金髪にも近い。それに加えて十字架のピアス、身長は165前後。

『あ〜……他には？』

学校は欠席、もしくは遅刻早退が多かった不良生徒だ。

『ふうん。……吉田祐介か小林隼人じゃない？多分小林隼人だけど』

小林隼人か……ふむ？聞いたことあるような、ないような……。

『俺の記憶が合っていれば、小林隼人は『───』と一悶着起こした生徒だよ。公園での殴り合いした男子生徒、覚えてる？』

……ん？公園で殴り合いした生徒？待て、丁度この前その話をアニキとしたところなんだ。まさかそいつ、猫が原因で殴り合いをして私が病院送りにした男子生徒か？

『あー、そうそう。話によれば、猫いじめてたからって『───』がムカついて殴りかかってボッコボコにしたんだよねェ』

……なるほど、分かった。ありがとう、｢───｣。何かあってもこれで相手に揺さぶりをかけられる。