【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ36)

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34色目｢私ってずっとずっとまともな人間だったんだな｣。ページ36

｢調査が完了いたしました。そのご報告を、早急にと｣
｢調査……ああ、最近ずっとやってた、個人的な調査ってやつ？｣
｢はい｣

こく、と白山は頷いた。個人的な調査だったはずなのに、私に教えていいんだろうか？点滴のチューブを揺らして、左手を顎に添える。んん、なんの内容なんだろう？

そんな私の様子を見てか、白山は肩にかけていた鞄から書類を出してこう言った。

｢調べていたのは、前審神者についてです｣
｢……え？｣

驚いて声が出る。だって仕方ないだろ。前審神者について調べてたとか言うんだぞ？何をいまさら調べる必要があったんだ？

｢こちらを、どうぞ｣
｢あ、ああ……｣

白山が渡してくれたその書類……いや、資料達は、随分と綺麗に、丁寧な字でまとめられていた。そして、私はそれらにもゆっくりじっくり、目を通す。ペラリペラリと1枚ずつしっかりめくり、目を通していった。

｢……前審神者は、突如逃げたのか｣
｢はい。わたくしはその時、既に重傷でしたので、知らなかったのですが｣

なるほど。突如として逃げたから、審神者部屋に荷物も何もかもそのままだったわけか。それで逃げた理由は……。

｢刀剣男士……三条の謀反か。ああ、だから加州が三条(・・)にやたらと反応してたわけなんだな。ようやく理解した。それで……ふむ……｣

そこには、前審神者の所業がありとあらゆるほどに記されていた。手入れはしない、食事も与えない、暴行を加える、その他にも沢山。そして……。

｢刀に刀を……兄弟刀に兄弟刀を折らせる、か……。審神者自ら折った刀剣も多いみたいだな。…………小夜……｣
｢小夜左文字は、特に審神者からの虐待行為を受けていた模様です｣
｢それで薬研が……小夜を取られて動けない江雪と宗三の代わりに動いて、何度も折れた、と｣
｢こちらの資料も、どうぞ｣

鞄から、また別の資料達を取り出す白山。それを受け取り、また静かに読んだ。

｢……呪言……言霊……なんのことか分からないが、それで刀剣達は縛られていたのか｣
｢はい。そして、それはは実は……未だに効力を持っています｣
｢未だに？どうして？前審神者(クソカス)はもう審神者じゃないのに｣

怒りを必死に抑えながら問う私に、白山はまっすぐ、だが顔に影が差しながら答えた。

｢わたくしたちが、前審神者によって顕現させられた刀剣だからです。つまり……その霊力は、前審神者のものにより構成されている。……分かりますか｣
｢ああ｣

……下衆め。