【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ31)

今日:15 hit、昨日:29 hit、合計:7,559 hit

29色目｢おっちゃん頼むからそんなに怒らないでくれ、私が悪かったから｣。ページ31

スマホで地図を見ながら街中を歩いていた。

あの後思ったよりも早く朱月さんから返信が届き、午後2時には外に出られるようになったのだ。まだ寝ている大和守が心配しないよう机には書き置きを残し、こんのすけにもみんなに私が一時的に外出することを伝えるように言った。

今のかかりつけ医には、随分と世話になっている。引越しが多く色々なところを転々としていた私達だが、今の私のかかりつけ医とはもう5年の付き合いがあるのだ。ある程度、私達の事情(・・)も把握してくれているから助かっている。

おっと、次の角を曲がったら……。

｢着いた着いた。おっちゃん元気にしてるかな｣

***

｢だからさあxxxちゃん。僕前にも言ったよね？アドエアは1日2回まで、12時間以上空ける。エナジアは1日1回まで。ねえ何回目？｣
｢ご、ごめんてばおっちゃん……｣
｢おっちゃんじゃなくて先生｣
｢せ、せんせぇ……｣

中年のややぽっちゃりとしたハゲ頭に、今私はしこたま怒られてる。当然だ。処方を守らなかったのだから。

｢ていうかね、これも何回目か分かんないけどアドエアもエナジアも長期的に治療していく薬なんだよ。毎日ちゃんと吸入しないと意味がないって言ったよね｣
｢ごめんなさぁい……｣
｢あとさぁ、これ本当は併用しないんだからね？xxxちゃんは普段は落ち着いてるけど、一旦発作が始まったらすんごい重症になるから頓服扱いでエナジア出してあげてるだけでこれ本当はダメなんだからね？｣

医者と患者ではあるが、ある程度気心知れている関係だからかこんなやり取りもする。いや私がすんごく怒られてるだけだが。めっちゃ怒ってるじゃんおっちゃん。

｢そんなんだからいつまでも治らないんだよ。まったく。ちゃんと吸入毎日してね。ほら服ちょっと上げて、音聞くから。……ああ〜ほらバッチリ喘鳴症状出てるじゃん、すんごい聞こえるよ｣

聴診器で私の気管支の喘鳴を聞いたおっちゃんは、カルテにカリカリと私の容態を書き込んでいく。
それを時折咳をしながら眺めてると、おっちゃんに呼びかけられた。

｢もう〜ほんとに…なんかお仕事で引っ越したんでしょ？お兄さんいなくて大丈夫なの？｣
｢近くに看病してくれる人いるから大丈夫だぞ｣
｢そう？ならいいんだけど……ほら指貸して、酸素濃度測るから｣

はーいと指を差し出すと、おっちゃんはオキシパラメーターで私の指を挟む。そこに表示された数値を見て、おっちゃんは叫んだ。

｢xxxちゃん今すぐ入院して!!!｣