【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ4)

今日:23 hit、昨日:17 hit、合計:7,538 hit

5色目｢終わりが見えない気がしてきたがそんなことはない気もする｣。ページ4

｢はいそこ木材運んでー。はいそこサボらない特に包丁。褒美が欲しいなら動く！｣
｢ちぇ、はーい｣

気が利く政府は気付かぬうちに本丸修繕のための道具や材料も送ってきてくれていたらしく、案外うまいこと修繕が進んでいる。運が味方してくれたな、良かった。

｢主、ここの戸は結局どうするんだ？この……｣
｢……うん、撤去しよう｣
｢まあそうだよな｣

当然私が穴を開けた戸もその他大勢に見られることになり、皆不思議がっていた。もう嫌だ。穴があったら入りたい。いや私が空けた穴にではなく。

4つある手入れ部屋達は、どれも中が酷い有様だった。空間こそ広けれど、その内部はまるで廃墟のようだ。……金属片も、大量に散らばっていた。きっと、これは……。

｢……主、この欠片達は……庭に持ってってもいい？あのお墓に、こいつらも入れてやりたいんだ｣

加州が、じっと金属片達を見ながらそう言った。私も、黙って金属片を見続けるしかできない。

｢……うん、いいよ。持っていってやってくれ。その方が、こいつらもきっと安心できるだろ｣
｢ありがと、主｣

私も手を怪我しないように、金属片達を箒で集める。それを加州が1つの入れ物に入れて、あの裏庭に持っていった。

｢ああ、皆の墓に彼らのことも葬ってやるのだな｣
｢そのようですよ、いわとおし｣

岩融は箒で床を掃き、その上に肩車をされて今剣が壁や欄間を掃除している。こういう時はあの身長差は便利だな。私も今度アニキに頼んでみよ。

｢大将、中で崩れてる木片も全部撤去でいいんだよな？｣
｢ああ、全部新しいのにとっ替える。やり方はよく分からんがこの中の誰かが分かるだろ｣

手入れ部屋は簡素な作りではあるものの、戸口周りの木材はやはり脆くなっている。これではただ修繕するだけではもはや無駄だろう。早く手入れ部屋だけでも使えるようにしなければ。

｢審神者さん。この部屋は片付け終わったよ｣
｢おっ、右奥の部屋か。どれどれ｣

もう敬語の外れた信濃に呼ばれて見れば、確かに綺麗に掃除されていた。みんな集中してこの部屋を綺麗にしていたらしい。やるじゃないか。

｢うん、いいな。あとは戸を替えるとかなんとかすれば、右奥の部屋は終わりだ。残りの部屋も同じようにするぞ｣
｢はい、わかりました｣

前田が返事をする。……そういえば、前田も私に怯えなくなったな。何か心境の変化でもあったのだろうか。

よし……今日することはまだまだ終わっちゃいない。頑張らなきゃだな。