【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ29)

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27色目｢きっとこいつなりに頼りになろうとしてくれている｣。ページ29

｢笑わない？｣
｢笑わない｣
｢困らない？｣
｢困らない｣
｢……怒らない？｣
｢怒らない｣
｢そっかあ｣

やや上を向きながら、へらっと大和守は笑った。もう今までのあの殺気は、敵意は、どこにもない。

｢じゃあさ、主。ちゃんと僕の主になってね。それから清光のこともよろしく。あいつ、まだ不安定なところがあるんだ｣
｢分かってるよ。それは見てれば分かる｣
｢ごめんね、今までずっと。悪態をついてたことも、蹴り飛ばしたことも、首を撥ねようとしたことも。全部、僕が意固地だっただけなんだ｣
｢最初から私は怒ってないよ｣

良かった、と一言呟き、また私の肩に大和守はもたれかかる。余程罪悪感が募っていたんだろう、ほっとしたような表情の大和守は、静かに微笑んでいた。

｢喘息の看病は僕がするから、主も安心して僕を頼ってよね｣
｢はは、看病されるまでもないよ。普段はこんなにならないんだから｣
｢なった時にどうするんだよ。また今回みたいなことが起こらないって決まってるわけじゃないでしょ｣
｢うっ、それはそうだが……｣

仕方ない、とため息をついて、ポンポンと大和守の頭を撫でた。

｢じゃァそんときゃ頼らせてもらうから、頼んだぞ｣
｢うん、任せて｣

朝の陽の光が心地いい。このまま黙っていたらうとうとしてきて、気づいたら眠ってしまっていた。

─

『青』
．黙秘
『青だった』
．緘黙
『その色は』
．緘黙
『その色はあなたの』
．緘黙
『君の色は？』
．動揺

暗転。教室。縦5列横6列。左端3箇所の空白、27セットの机と椅子。少年と少女。

『兄さん』
．空白
『兄さん』
．空白
『私だった』
．空白
『私のせいだった』
．空白
『私がこれを』
．空白
『私がここを』
．手が伸びる
『消えたい』
．抱きしめる
『どうすればいいの』
．空白
『助けてよ兄さん』
．視線が泳ぐ
『たすけて』
．何かを答えようとする

暗転。広間。

『これは道具』
．ナイフを振りかざす
『これは意味が無い』
．ナイフを振りかざす
『これは俺の』
．ナイフを振りかざす
『全て俺の』
．ナイフを振りかざす
『お前は』
．ナイフを振りかざす
『お前が』
．ナイフを振りかざす
『お前のせいだ』
．ナイフを振りかざす
『助けてくれ』
．ナイフが壊れる
『助けてくれ』
．ナイフが壊れる
『俺じゃない』
．鈍痛
『俺じゃない』
．鈍痛
『助けてくれ』
．鈍痛
『全て道具が言うことを聞かないから』
．鈍痛
『俺は何も』
．恐怖

暗転。明滅。終。