【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ26)

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24色目｢なんか薬研毎朝私のところに来てない？気のせい？｣。ページ26

アラームよりも前に起きてしまった。時刻は5時半。
起き上がって部屋を見ると、机にもたれかかるようにして眠っている大和守がいた。……そうだ、昨日の夜は大和守に助けて貰ったんだ。部屋まで運んでくれたのも、薬を探してくれたのも、布団を敷いてくれたのも、全部大和守だった。きっと夜通し私の看病をしてくれていたのだろう。

さすがに起こしちゃまずいかと思い、忍び足で顔を洗いに洗面所へ向かう。まだ喘鳴のする胸元を気にしつつ顔を洗い終わると、"色"を感じた。恐らくこの"色"は薬研だな。

｢大将、起きたのか｣
｢あ、ああ……っ、げほっ、げほっ｣
｢無理に喋らなくていい、大和守から全部聞いてるんだ。発作を起こしたみたいだな｣

静かに背中をさすってくれる薬研に、こくりと頷く。きっと今、喘鳴も聞かれているんだろう。

｢大将はしばらく修繕には来なくても大丈夫だ、俺達でなんとかする｣
｢え、でも、っ｣
｢ほら、まだ完全に治ってるわけじゃないんだ。しばらくは療養に努めた方がいいと俺は思うぜ｣
｢……｣
｢心配するな、やるところは大体分かってるし昨日の続きみたいなもんだからな。大将はゆっくり休んでくれ｣
｢……わかっ、た｣

気道が狭まり息苦しい。この状態で私が修繕に参加してもお荷物なのは明白だった。だから私は薬研の言う通り、休んでいることにした。

｢大将の今の状態は、他の連中には俺から伝える。……何か、大将から伝えたいことはあるか？｣

相変わらず背中をさすられながら聞かれ、考えたが何も出てこないのでふるふると首を横に振る。

｢分かった。そうだ、食事は俺達粟田口で作るから、作ったら大将のとこに持ってくるよ｣
｢ほう、けほっ、包丁扱え、るか？｣
｢なーに、心配はいらないさ。それにもしもの時は大将が治してくれるだろ？｣
｢ん、うん｣

咳が出ないように両手で口元を押さえながら、頷いた。万が一の時は、怪我の手当てはしてやるつもりだ。
薬研もそれに頷き、ニコッと私に笑いかけた。

｢なら俺達も安心して作れる。それに、大将にはうんと美味いものを食わせてやりたいからな｣
｢ありが、と｣

下手に喋ると呼吸に支障が出るから、途切れ途切れにしか話せない。それでも薬研は一言も逃さず聞いてくれた。
薬研はとんとん、と私の背中を優しく叩き、その後私の頭を撫でる。

｢じゃあ俺はそろそろ行くよ。……ああ、そうだ｣

何？と言いたくて首を傾げると、薬研は言った。

｢大和守、随分と大将を心配していたぞ｣