【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ16)

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15色目｢白山の動向が気になるが今はそれより大事なことがある｣。ページ16

｢お前らー集まってるかー｣

集合場所の畑に着けば、既にいつものメンバーは集まっていた。
薬研、鶴丸、獅子王、加州、白山以外の粟田口に今剣、岩融、そして小夜。

どうやら小夜はあの夜江雪に自ら私の刀になったことを伝えたらしく、江雪は複雑な顔をしていたらしい。しかし最終的には小夜の意思を尊重してくれたのだとか。……江雪左文字、1度顔を合わせてみたいものだ。

……ところで。

｢白山は今日も『調べ物』か？｣
｢そのようですよ｣
｢んん……何調べてるんだか……まァ今は気にすることじゃないな｣

鬼ごっこのあの日からもずっと、白山は何かを調べている。私には内容を話してくれないが、しかしそれだけ調べる価値のあることなのだろう。

ま、それは置いておいてだ。

｢今日は畑の掃除と西側廊下の掃除だぞ。割り振りは昨日伝えた通りだ。お前ら、いいな？｣
｢ああ、任せておけ、たーいしょ｣
｢よし、じゃお前ら行けー！｣

号令をかけると、粟田口の｢はーい｣という可愛らしい返事と共に全員が持ち場につき掃除を始めた。さて、私は西側の廊下だな。

欄間の外れた長押(なげし)をハタキで掃除していると、やはりというべきか埃が舞う。マスクはしているが正直防ぎきれない。

｢ごほっ、げほっ……｣

既に気管支は悲鳴を上げていて、呼吸をする度にヒューヒューと喘鳴が鳴る。それでも割り振られたからにはやるしかない。割り振りがどんなだったかって？くじ引きだったんだよ、くじ引き。そうなるともう仕方ないだろ。それに畑だろうがどう考えても土埃で同じ道を辿っていたはずだ。

｢……一旦降りよう｣

流石に今の私にこの長押の掃除は無理だ。一度休憩して、喘鳴が治まるのを待たなければ。
パーカーのポケットから吸入器を取り出し、またカチリとレバーを開ける。そのまま薬を吸入していると、久しぶりに見る"色"がこちらに向かってくるのが分かった。

山姥切だ。

相変わらず泥にまみれた布を被り、山姥切はこちらに向かってくる。私に用があるんだろうか？

｢よォ、山姥切。元気にしていたか？｣

あくまでも喘鳴の苦しみは悟られないよう、気丈に声をかけた。山姥切の返答は、こうだった。

｢……あんたに、頼みたいことがある｣

ほう？頼みたいこと？あの山姥切が。まァ、聞いて損はないだろう。

｢頼み？なんだ、なんでも言うといい｣

山姥切は一瞬迷ったかのような"色"を纏い、それでも私に言った。

｢俺の兄弟2人を、手入れして欲しいんだ｣