【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ14)

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14色目｢何度も言ってるが私は喘息持ちだ。え？そんなに言ってない？｣。ページ14

机の下。床面に座る。下を向く。

『助けられない』
．緘黙
『私には過ぎたこと』
．緘黙
『私には相応しくない』
．緘黙
『私にはできない』
．緘黙
『全部私のせいだった』
．緘黙

暗転。広い部屋。広い部屋。人に囲まれている。

『触るな』
ナイフを持つ。
『触るな』
ナイフを振り上げる。
『それは私の』
ナイフを振り下ろす。
『私の』
ナイフが消える。

暗転。公園。猫がいる。

『うちに来る？』
．擦り寄る
『行くところがないのか』
．撫でられる
『私達も居場所がない』
．擽られる
『私達は同じだ』
．双眸の色が違う

暗転。公園。人がいる。

．殴る
．蹴る
．骨は何本折れましたか？
．血は何ヶ所出ましたか？
．その人物はどうなった？
．緘黙
．解
『私には関係ない』

恐慌。明滅。暗転。終。

─

ピピピ、とアラームの音で起きる。時刻は午前7時。丁度いいな。

｢ゔ、けほっ、けほっ……｣

最近喘息症状が出始めた。幸い少しは薬があるから、それでなんとか平静を保っている。こんなひっでぇ環境を掃除してりゃそりゃ埃も舞うし仕方のないことではあるんだが。

既に薬研には喘息のことを伝えてあり……というよりは半ば強制的に言わされてあり、体調管理をしてもらっている。薬研なりに心配してくれているんだろう。近侍だしな。

この数日の間に、実に色々なことが起こった。まず、本丸の東側は綺麗になった。特に荒れているのは審神者部屋まで行ける北側だが、そこに通ずる東側が綺麗になったのはいいことだ。

次に、何振りかが手入れを受けに来た。

太鼓鐘貞宗、日向正宗、にっかり青江、鳴狐、陸奥守吉行、石切丸。

まだ手入れ童が出てきていないから全て私が自力でやったが、案外上手くいった。同時に自ら手入れを受けに来てくれた彼らに感謝をした。まだ私を主と認めたわけではないようだが、多少なりとも信頼しようとしてくれているらしい。

最近では玄関をどうにかできないか苦労しているが、せいぜい瓦礫をどけるだけで終わってしまっている。……まァその……壊したのは私だが。

とにかく今日は、畑と西側の廊下を掃除する日だ。しかし……。

｢げほっげほっ……ゔっ……げほっ……｣

こんな体調でやっていけるか分からない。数日間埃を吸い込みすぎたか？吸入器では追いついていないのかもしれないが……少なくともなにもしないよりマシだろう。

カチリと吸入器のレバーを開け、吸入薬を吸い込む。5秒ほど息を止め、ふう、と息をついた。