4話 ページ6
『あれ?』
職員室よりも廊下の方が明るく、夜目の効かない私でもしっかりと黒い綿の姿を目で捕らえることができた。
というか、よく見たら色々綿の中に入ってるじゃん。この際、黒い綿が一般的に怪異と呼ばれる者であるとかは無視しよう。
それよりも、何でこんなに廊下が明るいんだか・・・・・・。
『でもまぁ、この廃校舎自体が怪談なわけらしいし不可思議なことくらい起こるか』
ねぇ?と黒い綿に同意を求めれば首(正確には体全体で)を上下にヒョコヒョコと動かした。それを見て私は満足気に黒い綿を撫でる。
『あ、そうだ』
こんなに色々取り込んでるんだし、もう二度と無いであろう怪異との出会いを記念して僅かな贈り物でもしよう。ウエストポーチの中を漁れば、つい先日道端で配っていた飴があったので、数個あるうち1番大きなものを黒い綿の前に出す。
目の前に出された飴に黒い綿は飛び付く。
かと思えば、次の瞬間には手の上から飴は消えて黒い綿の表面に今しがた取り込んだ飴が浮き出てきた。
『おぉ、・・・・・・うぉっ!?』
感嘆の声が驚愕に変わる。
飴のお礼とでも言いたげに黒い綿は表面から1つ、ポンと何か丸いものを手の上に乗せてくれたわけなのだが・・・・・・これ、どう見ても何方かの目玉ですよね?
あ、でも、緑色の目玉なんて見たことないし人形に使われる偽物かも。義眼っていう可能性も捨てきれないけどね。
『ありがと』
多分、この子の中で良いものをくれたんだろうな。
「______________」
「_______」
「__________!!!」
『・・・・・誰かいる・・・・・・?』
今のいままでイヤホンで同性愛ものを聞いていたからよく聞き取れなかったが、どうやら話し声が聞こえる。
『え、あ、ちょ、・・・・・・・・!!』
私が呟くとほぼ同時、黒い綿は怯えたように私の腕の中から抜け出して暗闇へと姿を眩ませたのだ。
『・・・・・・困ったな』
あの黒い綿には少しばかり愛着が沸いたことだし、追いかけるか。
イヤホンを再び耳につけて喘ぎ声の音量をさらに上げる。目玉をウエストポーチに潰さないよう気を付けてしまい、黒い綿が通ったであろう道を辿った。
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のりまき - 凄く面白い、、、更新頑張ってください!楽しみにまってます! (2021年11月4日 22時) (レス) @page13 id: 43c85f48e1 (このIDを非表示/違反報告)
ユノ - 続き楽しみにしています (2021年3月26日 19時) (レス) id: ae7d8421ac (このIDを非表示/違反報告)
鈴菜 - ゆ、夢主も腐女子だと((( コホンとても楽しく読ませて頂いています! 続編が楽しみですよ〜… なんか夢主が獄卒たちと親しげ(?)ってとこが良いよね! (2020年8月15日 16時) (レス) id: 887197f4b6 (このIDを非表示/違反報告)
アヤト - 楽しんで読ませてもらってます!更新楽しみに待ってます! (2020年5月19日 8時) (レス) id: 3db13e33df (このIDを非表示/違反報告)
@羅夢(プロフ) - とても面白いです!あ、あれぇ?夢主と服装もカバンの中身もほぼ一緒だ!?更新楽しみにしています!頑張ってください! (2020年4月20日 18時) (レス) id: d2b13b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒月夜 | 作成日時:2020年4月1日 20時