これも運命ってやつかもしれない。【獄都事変】

１話 ページ3

家を出てから気づいたが、懐中電灯を持ってくるべきだった。

暗くなって街灯が道を照らしてくれなければ転けること間違いない外を見てため息を吐き出した。

廃校舎に電気が通ってないことは勿論、外でこれだけ暗いならば月明かりも満足に届かなさそうだ。コンビニでも寄ってから行くべきか。

そう思って財布を開く。

野口も樋口も、諭吉も・・・・・・果ては５００円玉さえも見当たらず、財布の中で転がるのはそんな私を嘲笑うかのような１５０円だけ。

それも全て１０円玉で。

『クソがっ！！』

ガッデム！と心の中で叫び、このどうしようもない財布の中身から目を逸らすようにスマホで検索を掛ける。

検索したのはまぁ、アレな方の同性愛もの。ちなみに男同士の。

イヤホンを両耳に装着して大音量でアンアン喘ぐ男の声を聞けば、私の脳内は幸せに染まる。


「やっ、やめろ、俺たちはっ、あっ・・・・・・！！」
「"教師と生徒"だとしても、俺の気持ちに答えてくれない先生が悪いんですから・・・・・・ねっ！！」


生徒×先生はいいな。うん。最高かよ、もっとやれ。

鼻血を出したくなる衝動を必死に押さえ付けて少し足を早める。

下手したらこのボイスドラマを聞くためにこの場に立ち止まってしまいそうだから。それもいいが、今は急がなくては。

・・・・・・あとでゆっくり聞こ。

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