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明るい茶トラの猫――――きなこを膝に置き、静かに座る福沢さん。
福沢さんは特に何をするでもなく、只々きなこを撫でていた。
――福沢さん、滅茶苦茶癒されてる。
他の猫の対応をしながらチラリと視線を送れば、あそこだけ癒され空間となっていた。
見ているこっちまで心が穏やかになる気がする。
とても荒事専門の異能集団の長とは思えない。
様々な噂は聞いては居たが、猫好きとは意外な事を知った。
その時、猫タワーの上に居た猫が、俺の肩に乗り移って来た。
『おっと、どうした? サバンナ』
鯖トラ模様の猫が俺の肩を器用に乗り、顔を擦り付けて来る。
危ないのでサバンナを抱っこすると、前足がぐんっと伸びて喉を鳴らしていた。
『そこで落ち着かれると、仕事出来ないだろ? 寝るならこっち』
近くのクッションの上に下ろすが、爪が服に食い込んで離れない。
甘えたい盛りか、仕方ないのでわしゃわしゃと腹を撫でてやる。
「良く懐かれているな」
不意に福沢さんが声を掛ける。
先程のやり取りを見ていたのだろう。
少し表情が柔らかく見えた。
『結構猫達も慣れてくれたみたいです。これで気持ちも分かったら楽なんでしょうね』
「? 気持ちを読む異能と聞いたが?」
『どう云う訳か、動物の事は読めないんですよ。人みたいに意思を読むとは違うみたいで』
不思議ですねぇ、と答えると、福沢さんは「そうか」と呟いた。
そして、何か考える様に目を伏せた。
「……太宰が君の事を気に掛けていた」
『太宰さんが?』
「君の異能力の事を思って、危険が及ばぬ様保護するべきだと」
そう云えば、以前にも太宰さんや乱歩さんから探偵社への勧誘を受けたのを思い出す。
『ご心配してくれてありがとうございます……』
でも、俺は――――と、云い掛けると福沢さんが手で制した。
「社員になる事を無理強いするつもりはない。しかし、君の立場はそれ程危ういと云う事を、肝に銘じて欲しい」
『はい』
探偵社の社長の言葉を、俺は真摯に受け止めた。
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ソルト(プロフ) - この作品にてねこぱふぇさんの作品を全て読み終わりました。どの作品も面白く1日で読み終わってしまいました…これから2週目に入ります。今後のご活躍を期待させていただきます。 (2019年6月14日 0時) (レス) id: 61b043fd1c (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - ネコぱふぇさん» 弟君の幼女化ありがとうございました!!弟君シリーズすごく好きです!!これからも応援しています! (2019年4月30日 21時) (レス) id: 3faee80352 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのごん子 - 獄都事変とコラボしてガッツポーズしたのは私だけじゃないはず (2019年4月29日 21時) (レス) id: 1eba992f2c (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 大阪さん» すみません。バチカン奇跡調査官は詳しくないです。 (2019年4月29日 10時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
大阪 - リクエスト、まだ大丈夫でしょうか?バチカン奇跡調査官とのコラボがみたいです… (2019年4月29日 5時) (レス) id: 513b666ef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2019年3月24日 23時