【文スト】一般人の中原です その二

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弟は呆れながら中也さんを見て、ふと視線を俺に向けた。









「わ、悪ぃ起こして」





『いえ、ウチの兄がご迷惑を……えっと』





「あー、俺は立原だ。立原道造」





『立原さん、兄を送って下さりありがとうございます』









中也さんとは違って人当たりの良い笑み――本人が聞いたら殴られるかも――を向けて礼を云った。









『ほら兄さん、立ちなって』





「おぉ〜A〜、帰ったぞ〜」





『そう云うのは自力で帰って来た人が云う台詞だよ、全く』









酔っ払いの兄を呆れながらも介抱する弟。

中也さんから何度か話を聞いては居たが、弟は本当に純粋な人間だった。

マフィアの兄を知りながらも受け入れ、変わらず接してくれたと、嬉しそうに何度も話していた。





本当に仲が良い兄弟なのだ。

それが、凄く羨ましく思った。









「じゃ、じゃあ俺はこれで……」









この場に居るのが何だか気不味くなり、帰ろうとした。









…………が、思い切り足を掴まれた。

不意の事で、そのまま俺は転んだ。









「いっでっ！！」





『た、立原さんっ！』









見れば、寝惚けた中也さんが俺の足を掴んだらしい。





……一発くらい殴っても許されるかな。



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