【文スト】一般人の中原です その二

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立原Side





「中也さん、自分の足で歩いて下さいよぉ」





「おぉ〜」





「……聞いてねぇよなぁ……はぁ」









正直、中也さんの家に行くのは避けたかった。

正確には、中也さんの弟と関わりたくないのだ。

中原A――――彼はポートマフィアに所属していないが、異能力者である。

触れた相手の気持ち、記憶を読み取る異能力。

幾ら嘘偽りを並べたとしても、彼が触れれば全てが表に晒される。





つまりは、俺がマフィアに潜入している「猟犬」であることも、知られてしまう。

何かの拍子で、うっかり触れでもしたら終わり――――即処刑だ。





べろんべろんに酔った中也さんを支えながら、自宅へと向かう。





重い、足取りが重い。

序に中也さんも重い。





とりあえず、この時間だから弟君は寝てるだろうし、玄関開けてソファとかに寝かして帰ろう。





玄関前に到着して、ほぼ夢の中に行ってしまった中也さんの懐を漁る。





鍵、カギ……か、ぎ……。









「…………無ぇ」









マジかよおい。

どうすりゃあ良いんだ幹部様。




金属操作をして…………否、下手に異能を使わねぇ方が良いな。

ドア壊す訳にも行かねぇし。





このまま玄関先で寝かせて置けば…………否、良くねぇか。

後で色々云われそう。





俺は呑気に眠る上司を見ながら、溜息を吐いた。





その時、カチンッと音がして、玄関の扉が開いた。









『――あ、やっぱり』









顔を出したのは、中也さんに顔立ちの似た弟――――中原Aだった。



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