【文スト】一般人の中原です その二

地獄の鬼、ヨコハマへ【大阪様リクエスト】 ページ16

※この話は「獄都事変」とのコラボ作品です。ご了承ください。

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【情けは人の為らなず】



相手に情けを掛ける事は、相手の為になるばかりでなく、

巡り巡って自分に良い報いが返って来る。

そんなことわざがある。



しかし、それはあくまで「人に対して」の話だ。









バイトの帰りが遅くなり、暗くなった道をAは一人歩いていた。

すると、道の端に此方に背を向けて蹲る人が居た。





『大丈夫ですか？』





必然的に、Aはその人に声を掛けた。

黒髪の長い女性は、顔の向きを少し此方へ向ける。

しかし、長い髪が顔に掛かり、表情ははっきりと見えない。

もう少し女性に近付き、目線を合わせる様に隣へしゃがみ込んだ。



その際、その人の肩に手を添えた。



その時、女性からドロドロとした感情が流れ込んだ。

Aはすぐに手を放して立ち上がる。

しかし、勢い良く女性に腕を掴まれた。





「アナタ、優しいわね――――私が視えるの(・・・・・・)？」





振り返った女性の顔はどす黒く変色しており、両目は黒い穴の中心に赤い目が浮かんでいた。

掴まれた腕がヒリヒリと痛み、同じに禍々しい感情が伝わって来る。





――此奴は、人間じゃない。





「ならワタシの事好きよね？ ねぇそうでしょう？ 好きと云って！ 愛してっ！ ねぇっ！」



『っ……放せっ！』





女の手を振り払おうとするが、力が強過ぎて敵わない。

すると、Aの首に手が掛かり、首を絞めた。

息苦しくてもがくAを、女は楽しそうに笑っていた。









「――そこまでだ」









その時、頭上から声が降って来た。



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