兄の大事な話 ページ26
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医務室には、重い空気が漂っていた。
先程まで眠っていたAが、上体を起こして中也を見る。
寝台の隣の椅子に中也が静かに座っていた。
「……A」
『うん』
名前を呼んでから、中也が云い難そうに言葉を紡いでいく。
「約束通り、全部話す」
『……聞くよ』
それから中也は全てを話した。
自分の事。
ポートマフィアの事。
異能力の事。
これまで行なって来た所業。
死んでも云いたくなかった秘密を、中也は洗い浚い語った。
その話を、Aは静かに最期まで耳を傾けた。
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「――これが、お前の兄貴だ」
『……』
話し終え、中也がチラリと弟を見た。
Aは無言で何かを考えてから、ふぅ、と息を吐いた。
『兄さん、話してくれてありがとう』
「っ……!」
感謝の言葉なんて、云われるのは筋違いだ。
中也が顔を歪ませるのを見て、Aは眉を下げた。
『そんな顔しないでよ。
……まぁ、マフィアの兄さんは、世間的には褒められたものじゃないけど。
兄さんがどんな人間なのか、兄さんの口から聞けて良かったよ』
「……良くねぇだろ。こんな兄貴……今回だって俺のヘマで……」
俯いて中也が云うと、Aはムッとした顔をした。
『……まさか、居なくなったりしないよね?』
「……」
Aの問い掛けに、中也は沈黙した。
すると、Aは身を乗り出して、中也の肩を叩いた。
『マフィアの幹部が何弟にビクビクしてんだよっ!』
初めてAが兄に怒りをぶつけた。
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由良の門を - 乱歩さんが可愛い (2023年4月9日 12時) (レス) @page36 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - ロバート先輩wwwここめっちゃ笑えました!中也くんと同じこと思いましたwめちゃくちゃ面白いです! (2023年2月11日 0時) (レス) @page13 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - お忙しい中、リクエストに応えていただきありがとうございました!探偵社を交えてのワイワイした様子とか見てて楽しかったです! (2019年3月24日 23時) (レス) id: 3faee80352 (このIDを非表示/違反報告)
山猫(プロフ) - リクエストお願いします。弟君が自分に好意を寄せる厄介な女性への対処に困ったところが見たいです! (2019年3月21日 23時) (レス) id: 18f48afc5e (このIDを非表示/違反報告)
ロト - リクエスト失礼します。中也と弟君とでショッピングしたりするほのぼのが見てみたいです。お願いします! (2019年3月19日 17時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2019年2月2日 21時