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【母親】ありがとう ページ18

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朝河ヨシ子は時計を確認した。

娘の帰宅が遅く心配になって来た。

携帯電話に連絡を入れても何の返答も返って来ない。

ヨシ子は焦りながら玄関へ向かった時、ガチャリとドアが開いた。





「サヤッ!」





そこには赤いパーカーにズボンを履いた娘が立って居た。

名前を呼び駆け寄ろうとしたが、娘の後ろに立つ人物を見て、立ち止まる。





銀髪に着物の男。





「朝河ヨシ子殿。私は武装探偵社社長の福沢と申す者。急な訪問で申し訳ないが、少し話がしたい」





威厳ある福沢の言葉に全てを悟ったヨシ子は、諦めた様にその場に座り込んだ。





「もう、終わりなんですね……」





泣き崩れるヨシ子に、Aは静かに近付いた。





「貴女に娘を重ねて幸せになろうとした報いなのね。母親としても、人としても失格ね」



『……』





Aもその場に座って、ヨシ子を見た。









『……物心ついた時から、ウチには両親が居なかった』



「っ!」





俯いていたヨシ子が顔を上げた。





『別に今更それが悲しいなんて思わないよ。父親代わりの院長が居たから……でも、母親って人は居なかった』





Aはヨシ子の手にそっと手を添えて続けた。





『記憶が戻った時、すぐに帰らなかったのは……帰れなかったから。


 ウチを抱き締めて泣いている貴女を、置いて行けなかったから。


 大切な人が居なくなるのは、誰だって苦しいから。


 ウチに向けられた愛情じゃないけど……


 この数日、サヤとして過ごして、母親ってものを初めて知った』





――凄く、あったかいんだね。





照れくさそうに笑うAの目から、涙が流れた。





『短い間だったけど、“親子”で居られて嬉しかった』



「っ……ごめんなさいっ」





ボロボロと鳴きながらヨシ子はAを抱き締めた。



Aもヨシ子の背中に手を回してぎゅっと抱き締める。





「こんなお願いするのは変だけど……最後に、“母さん”って呼んでくれる?」



『……うん。母さん――――ありがとう』



「うぅっ……サヤ……サヤァッ」





暫く二人の鳴き声だけが切なく響いた。



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ネコぱふぇ(プロフ) - まゆさん» ありがとうございました。新作の方も頑張ります。 (2019年2月3日 1時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 完結おめでとうございます^_^すごく、面白かったです^_^動物が出てくる場面、すごく癒されました^_^良い作品ですね!これからも、頑張って下さい^_^応援してます^_^ (2019年2月3日 0時) (レス) id: 833a45e133 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 山吹晋助さん» 喜んで頂けて良かったです。 (2019年1月27日 23時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - ずっと読んでいて楽しい作品でした!次回の作品も頑張って下さい! (2019年1月27日 23時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - あーやんの向日葵畑さん» 応援して下さり、ありがとうございました。 (2019年1月27日 12時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2019年1月17日 23時

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