検索窓
今日:10 hit、昨日:6 hit、合計:116,167 hit

その名は・・・ ページ11

.



太宰をそう尋ねた時、店の扉が開いて一人の少女が入って来た。





『あぁ! やっぱりここに居ましたね、太宰さん!』





太宰と種田長官が座る席の前に来て、少女は太宰に向かって云った。



「やぁみっちゃん! 良く私がここに居ると分かったねぇ!」

『白々しい。“場札”を付けられているって判っている癖に』



みっちゃんこと、Aは呆れ顔で太宰を見る。

そして体を種田長官に向ける。



『すみません。この人が勝手に相席を名乗ってタダ酒を飲もうとして、ご迷惑をお掛けしましたっ!』

「言葉が辛辣だよ、みっちゃん。私はまだ酒の一滴も飲んで居ないのだけれど」

『今“まだ”って云いました? やっぱり飲もうとしていたじゃないですか! 仕事探すって云って出掛けた筈ですよね!』

「いやいや、待ちたまえよ。私はちゃんと仕事を探していたのだよ」



太宰は手を種田長官に向けて、Aに紹介をする。





「こちら、内務省異能特務課の種田長官。今し方一つ仕事を紹介して貰っていたところでね」





『……え、特務課……ちょ、長官っ!! え、えっ! ええええっ!?』



太宰と種田長官を交互に見て、驚き慌てるA。



「静かにしたまえ、お店だよ?」

『すっ! ……すみません』



太宰がそう云うと、すぐに手で口を押えて、恥ずかしそうに顔を赤くする。



「はっはっはっ! 何とも面白い子を連れとるなぁ。君も彼と同じ、仕事を希望かね?」

『は、はいっ! Aと申します。あの……種田長官、先程太宰さんが仕事を紹介して頂いたと聞きましたが……』



遠慮がちに種田長官に尋ねるAは、少し近付いて言葉を続けた。









『……その職場では、人を救うお仕事は出来ますか?』









Aが云うと、種田長官は目を丸くして驚いた。



そして、盛大に笑った。





「はっはっはっ! 君達は良く似とるよ」

『えぇっ!? 何処がですかっ!?』

「みっちゃん、そんな嫌そうに云わないでよ」

「まぁ、彼女の言葉の方が誠意を感じるがな」

「私も真面目に云ったつもりなんですがねぇ」



肩を竦めながら云う太宰。



「尚更、君達に紹介して良い所だ」

「それで、その組織の名前は?」



改めて、太宰が種田長官に尋ねる。

隣に立つAも、期待を胸に言葉を待った。





「名か? その会社の名前はな――」









.









その会社に、二人が働き始めるのは、今から二年後の事だ。



.

【作者より】一段落着きました→←二週間後



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (238 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
337人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

セキセイインコ(プロフ) - この異能力めっちゃ強い (2020年12月24日 9時) (レス) id: 9e59c5682d (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 藍色眼鏡さん» ありがとうございます。喜んで頂き嬉しいです! (2018年4月30日 16時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
藍色眼鏡(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く良いお話でした(泣) (2018年4月30日 14時) (レス) id: 07c13963ee (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - しろねこさん» ありがとうございます。番外編もぼちぼち頑張ります (2018年4月30日 13時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - eyeさん» ありがとうございます! (2018年4月30日 13時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年2月12日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。