芥川 ページ2
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「済まなかったね。手を煩わして」
「構わんさ」
織田作さんと私は、芥川さんを太宰治の所へ運んだ。
気を失っている彼を降ろして、織田作さんは太宰治と話をしていた。
ふと、芥川さんを見ると、傷に貼り付けた紙に血が染みていた。
新しい紙を貼っておこうかな。
そっと彼に近付いて、手をかざした。
すると、呻き声と共に芥川さんが目を覚ました。
近くに居た私と目が合った瞬間、勢い良く腕を掴まれた。
「貴様っ……」
『っ!』
ギリッと強く腕を掴まれ振り払えない。
芥川さんの外套が蠢き、黒刃が現れ真っ直ぐ私に伸びて来た。
避け切れない。
異能で防ぐにも間に合わない。
咄嗟に目を瞑った。
突然、後ろから襟首を掴まれ引っ張られた。
「全く……血の気が多くて嫌になるねぇ」
聞こえて来た声に驚いて目を開ければ、包帯で覆われた腕が見えた。
私に伸びて来た黒刃は、太宰治の異能力で無効化され消えた。
「だ、太宰さん……」
芥川さんが驚いて声を上げると、太宰治は立ち上がった。
そして、怪我をしている芥川さんの足を踏み付けた。
「ぐっ……!!」
ぐりぐりと太宰治は容赦なく踏み付けている。
幾ら何でも酷い仕打ちだ。
「大丈夫か、A」
『は、はい……』
織田作さんは私に声を掛けて立たせてくれた。
太宰治を止めなくて良いのか、
織田作さんに視線を送っていると、先に太宰治がこちらに振り返った。
「悪いねぇお二人さん。躾がなっていない部下が迷惑掛けて。今日はもう帰りたまえ」
それじゃあ、と云って太宰治が歩いて行ってしまう。
芥川さんもよろよろと立ち上がって、こちらを睨み付けた。
そして、傷だらけの体を引きずってこの場から消えた。
織田作さんは何か云いた気な表情で太宰治を見ていたが、結局何も云わなかった。
その後、私を家まで送り、織田作さんは家に戻った。
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セキセイインコ(プロフ) - この異能力めっちゃ強い (2020年12月24日 9時) (レス) id: 9e59c5682d (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 藍色眼鏡さん» ありがとうございます。喜んで頂き嬉しいです! (2018年4月30日 16時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
藍色眼鏡(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く良いお話でした(泣) (2018年4月30日 14時) (レス) id: 07c13963ee (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - しろねこさん» ありがとうございます。番外編もぼちぼち頑張ります (2018年4月30日 13時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - eyeさん» ありがとうございます! (2018年4月30日 13時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年2月12日 23時