眠る少女 ページ22
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絵本の棚に置いてある本を捲っていると、頭を三つ持つ犬の絵が描いてあった。
《A、何見てんの?》
遊びに来た猫が周りに集まって一緒に本を見る。
《何この犬?》
『んーっと……“地獄の番犬”だって。難しい事書いてあるけど、兎に角凄く強い犬だよ』
《会った事あるの?》
「物語の犬だから無いよ。でも実際居たら凄いだろうな」
「番犬」と云われる位だから、どんな敵が来ても守ってくれそうだ。
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探偵社に戻り、医務室へ向かうと与謝野と敦が居た。
「Aちゃんは?」
「妾の異能で治療済みだよ。今はまだ眠ってる」
視線をベッドに向ければ、規則正しい寝息を立ててAが眠っている。
暫くは目を覚まさないだろう。
「何が遭ったんだい? あの子が血だらけで帰って来て驚いたよ」
「……Aちゃんの異能力が暴走したんです」
太宰が与謝野に説明をする。
異形の獣が暴れていた事。
Aの体中に赤黒い痣が浮かび上がっていた事。
A自身に制御が出来ていない事。
太宰の異能力無効化でなければ止める事が出来ない事。
暴走を止めなければ、体にかなりの負担を掛ける事。
「如何して、暴走なんか……」
「それなんだけどねぇ……治療していた時、こんなモンが出て来たよ」
与謝野はデスクに置いてあった小さな入れ物を持ち上げた。
カランと中の物が転がって音を鳴らした。
「それはっ!」
「胸部に一発……撃たれたんだろうねぇ。傷は妾が治療する前に塞がっていたけどね」
「自分の身が危険に晒され、本能的に異能力が発動したんだ。あの異形の獣はAちゃんが異能で作り出した物」
与謝野は眠るAに目を向けた。
「……厄介だねぇ。動物と話が出来る以外に、何か別の効果があるのかねぇ」
「自覚は無いかもしれませんが、目を覚ましたら聞いてみましょう」
念の為、社長にも報告をしなければならない。
太宰達は静かに医務室を後にした。
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夜廻(プロフ) - 続編待ってました!無理しないで、頑張って下さい!!!! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 44c5ec9c50 (このIDを非表示/違反報告)
ノア@情緒不安定(プロフ) - ちぃちゃんの性格が好き。 (2018年3月17日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
高杉アヤ(プロフ) - 何この作者神かよ女神かよ!!(←羨まし過ぎて逆に尊敬してる奴) (2018年2月19日 21時) (レス) id: bdc5f38589 (このIDを非表示/違反報告)
sakaruma1031(プロフ) - とても、面白いです。続きが気になります! (2018年2月18日 11時) (レス) id: 7de756cf73 (このIDを非表示/違反報告)
ヨッシー(プロフ) - やつがれえええええ!良くやった!ひぐっちゃんおめでとう! (2018年2月7日 19時) (レス) id: 71a49373db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年1月19日 23時