疑惑 ページ10
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太宰Side
「あ、そうだ。昨夜、襲撃者と鉢合わせしたよ」
いつものバーで織田作と酒を飲み交わしていた時、ふとそんな出来事を思い出した。
「捕まえたのか?」
「いや、捕まえる前に焼身自 殺してしまったよ……と云っても、ただの人形だけど」
織田作が「人形?」と首を傾げる。
焼け跡を調べたが、人間の痕跡が全く無かった。
「如何やら相手も異能力者の様でね。その人形から風が吹いたと思えば、部下たちと中也が血らだけになっていた」
「大丈夫なのか?」
「死者は出ていないよ。小さな切り傷だらけになっただけ」
そう、まるで無数の刃物に斬り付けられた様な傷ばかり。
「――それと、こんなもの拾った」
私は胸ポケットから透明な袋を取り出してカウンターテーブルに置いた。
中には、細かく切った黒い紙が数枚入っている。
路地裏の地面にバラ撒かれていた物を搔き集めて、調べる為に持ち帰ったのだ。
紙自体は何処にでも売っている色紙だった。
何の変哲もないし、高級和紙でもない。
本当に只の黒い紙だった。
「しかしねぇ……詳しく調べたら、人の血液が付着していた。それも複数人」
部下達が負った傷の深さも丁度これ位だっだ。
この色なら暗い路地裏だと目立たない。
仮にこの紙がナイフの様になって飛んで来たら、そりゃあ当たったら切れるだろう。
「まぁ、まだ得体の知れない異能力者だ。織田作も気を付けて――織田作?」
隣を見ると、難しい顔をした織田作が、件の黒い紙をじっと見つめていた。
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織田Side
太宰が拾ったと云う黒い紙に見覚えがあった。
今日の昼間、図書館で会った少女から舞い落ちた物と大きさ、形、色……何もかも一緒だった。
偶然……いや、それにしても酷似し過ぎている。
少女の周辺に、襲撃者が近くに居たからか?
若しくは、少女に接触したから……いや、これも考え難い。
――後、考えられるのは……。
「――大丈夫かい? 織田作」
考えを一旦中断して顔を上げる。
隣に座る太宰が、珍しく心配そうに此方を覗いていた。
「あぁすまない。考え事をしていた」
「……酷く難しそうな顔をしているよ? 何か気になる事があるのかい?」
「いや……大した事じゃない」
「……」
この考えは間違いであって欲しい。
――後、考えられるのは……あの子自身が襲撃者である可能性。
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ネコぱふぇ(プロフ) - 名無し28935号さん» ご名答! 勝手に拝借しましたぁ('Д')ハハハ (2018年1月24日 1時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)
名無し28935号(プロフ) - 竹一って人間失格の耳だれの男の子ですよね!!!!!!!!!!!(違ったらすいません) (2018年1月24日 0時) (レス) id: 8c7fb5ba75 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - なーさんさん» ご指摘の部分はちょっと加えて修正済みです。応援ありがとうございます! (2017年12月26日 1時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)
なーさん - ネコぱふぇさん» いえいえ(汗)これからも楽しみにしておりますので頑張ってください!応援しています(*´ー`*) (2017年12月26日 0時) (レス) id: addadc6628 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - なーさんさん» ぐふぅ……ホントだ勉強不足で済みません(/ω\)ご指摘感謝します!これからも頑張ります! (2017年12月25日 21時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2017年12月4日 0時