【文スト】紙使い少女は、黒に染まっていた【黒の時代】

訓練の一環 ページ42

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太宰Side


ソファーに横になって資料を見ていると、開けていた窓の所に何かが止まった。



視線を向けると、白い鳥が止まっていた。

上体を起こして手を差し出すと、鳥はバサッと羽ばたいて私の掌に止まった。



瞬間、鳥の体が形を崩し、書類の束になった。



Aちゃんに頼んでいた書類が届いたのだ。

あの子に頼む時はこうして届ける様に云ってある。



Aちゃんを経由すれば、すぐに手元に届けられるから、無駄に時間が掛からない。



異能の訓練の一環とは云っているが、正直な所こっちの方が、私が楽なのだ。



「しぶしぶ仕事を受けた割には、こう云う所はしっかりしているのだよねぇ……相変わらず生意気ではあるけれど」





《聞こえてますよ》





突然声がしてピクリと肩を揺らした。



チラッと書類の裏を見れば、「耳」「口」「場」と書かれた紙がクリップで留めてあった。



「私の独り言を盗み聞きかい？ 良い趣味だねぇ」

《違います……貴方の声が聞こえると云う事は、無事書類は届いた様ですね》



「口」と書かれた紙からAちゃんの声が聞こえる。



あの子の異能力だろう。

こう云う使い方もあるのだね。



「確かに書類は受け取ったよ」

《それでは、私はこれで》



そう云った途端、３つの紙が一人でにビリッと二つに破けた。



破けた紙を摘まみながら、私は笑った。





「本当に、面白い能力だねぇ」





紙一枚で、音を聞き、話が出来て、場所も特定出来る。



電話に盗聴器と発信機が付いている様な物。



本人に云ったら、嫌ってもう使わないと云い出しそうだ。



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