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道案内 ページ4

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織田Side


ポートマフィアが襲撃された日から翌日。

俺の仕事が片付いた後、休憩がてら海沿いの道を歩いていた。

散歩するにはとても過ごし易い気候だ。



ふと、歩みを進める先を見れば、道案内の看板の前で佇む少女が居た。

じっと看板を凝視して微動だにしない。

道にでも迷ったのか、そう思って俺は声を掛けた。





「迷子か?」

『……?』





声を掛けると、少女は黙って此方を見上げた。

小学生低学年位だろうか。

丁度、幸介達と同い年の少女。

俺の知っている子供達よりも大人びて見るのは、表情が無いからだろう。

見知らぬ人に声を掛けられても驚く様子も無く、只じっと俺を見つめていた。



「道にでも迷ったのか? 何処へ行きたい?」



黙っている少女に再度声を掛けると、少女は「うーん」と何やら考えてから口を開いた。



『……本が読める所』

「それなら図書館だな。ここから少し歩くが、ここを通って――」





俺は看板の地図を指差して、現在地から図書館への道筋を辿る。




『……そこにはどんな本がありますか?』




変わった質問をする。

もしかしたら図書館へ行くのが初めてなのかもしれない。





「色々あるな。児童書、小説、図鑑や歴史書……」



色んな種類の本を云って行くと、少女は興味津々に耳を傾けていた。



そこで初めて子供らしい表情を見た。





「本が好きなのか?」

『読むのは好きです。色んな言葉を知る事が出来ますから』



子供にしては大人びた回答だった。



そこで誰かの着信音が鳴った。

俺の物ではない。

すると、目の前の少女は首に吊るしてあった携帯を手繰り寄せ服の下から取り出した。

電話ではなくメールだったようで、釦を操作して画面を見ている。



そして、心底残念そうに溜息を吐いた。



「如何した?」

『……帰らないといけなくなりました。折角道を教えて貰ったのに……図書館、今日は行けないです』

「それは残念だな……まぁ、図書館は何処にも行かないさ。また今度行けばいい」

『そうですね。教えてくれてありがとうございました、お兄さん』



ぺこりと礼儀正しくお辞儀をした少女は、顔を上げて踵を返し小走りに去って行った。



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ネコぱふぇ(プロフ) - 名無し28935号さん» ご名答! 勝手に拝借しましたぁ('Д')ハハハ (2018年1月24日 1時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)
名無し28935号(プロフ) - 竹一って人間失格の耳だれの男の子ですよね!!!!!!!!!!!(違ったらすいません) (2018年1月24日 0時) (レス) id: 8c7fb5ba75 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - なーさんさん» ご指摘の部分はちょっと加えて修正済みです。応援ありがとうございます! (2017年12月26日 1時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)
なーさん - ネコぱふぇさん» いえいえ(汗)これからも楽しみにしておりますので頑張ってください!応援しています(*´ー`*) (2017年12月26日 0時) (レス) id: addadc6628 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - なーさんさん» ぐふぅ……ホントだ勉強不足で済みません(/ω\)ご指摘感謝します!これからも頑張ります! (2017年12月25日 21時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2017年12月4日 0時

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