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ただの軽い脳震盪かと思えば、同時に熱中症気味でもあったらしい。もう大慌てで持ってきていた保冷剤やら氷やらで体温を下げて、起きるのを待っていたとのこと。
枕の代わりなのか、丁寧に畳まれたジャージの上に寝かされていた。ついでに、額には濡らしたと思われるタオルも添えられて。
黒を基調としたデザインと、何より赤で書かれた文字。まあ見覚えがあるっていうか、ありまくりだった。
まあ、あえて言わないでおこう。
とりあえずこの謝り倒す少年こそ、あの新鋭の暴君で有名な高校のバスケ部の謝りキノコこと桜井良だとは言っておく。
「僕が、ちゃんとシュートを打っていれば…スイマセン‼」
「いや、寧ろこっちがありがとうだわ…」
下手すれば、帰る途中で行き倒れになっていたかもしれない。何その怖すぎる公開処刑、などと冷静に考えてる場合じゃないが。
結局、桜井君にアイスを奢るという形でこの件は片がついた。…が、如何せん、軽度の脳震盪及び熱中症気味だった私だ。
起き上がりは出来たものの、未だ多少のふらつきがあり、肩を支えてもらわないと立っていられないぐらいには酷い。
「あの…とりあえず今日は水分をしっかり取ってよく寝た方がいいと思います…スイマセン!」
「………そうしとくわ」
オカンかよ。
無論、呟いたのは心の中でだ。
結局、近場にも関わらず弟を召喚する羽目になったのは言うまでもない。確か練習は午後からだったので、時間的には余裕がある。
そしてこの後部活であるにも関わらず、ギリギリまで付き添ってくれた彼、桜井君には申し訳ないとしか言い様がない。
別れ際、ノートの切れ端を渡された。
「あの!家に着いたら、その番号に、連絡頂けませんか……スイマセン!」
「…ありがとう」
まあ、そりゃそうだわな。立場が逆であってたとしても、そうしてただろう。
そんなことを思いつつも、随分とかわいい文字で書かれた番号やらアドレスやらをちゃっかり端末へ打ち込む私だった。
――これが、彼との初対面。
___
A桜井君よ、この前教えてくれたやつ、家族に好評だった
Aありがとう
桜井ほんとですか?良かったです!!
その後、料理のレシピや秘伝やらを交換し合う仲になるのはもう少し先の話である。
(ちなみに駆けつけた弟により、家に帰ったと同時に布団に直行だったのは言うまでもない)
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ユキ(プロフ) - kosigayamaihintさん» ありがとうございます。殆ど妄想で書いているようなもんなので、とても嬉しいです。無理をしない程度に更新頑張りますw (2018年8月30日 9時) (レス) id: b62f39a03d (このIDを非表示/違反報告)
kosigayamaihint(プロフ) - 光の姉凄く大好きです!この本編では見れないお話見るのとても楽しいです!更新楽しみにしています!でも無理はしないでくださいね (2018年8月30日 1時) (レス) id: d0a46af0d1 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - ゆめさん» ありがとうございます!あくまでも関係は年上と年下みたいな感じです!私も夢主がタイプですw (2018年4月25日 7時) (レス) id: de1da99f45 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - こういう殺伐として甘くない関係好きです!夢主が超どタイプ。← (2018年4月25日 6時) (レス) id: 071a98174c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 黒九路苦さん» ありがとうございます!更新は思い付いた時にやっていますが、待って頂けると幸いです。これからも頑張ります。 (2018年2月12日 0時) (レス) id: de1da99f45 (このIDを非表示/違反報告)
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