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*黄瀬涼太にわがまま*1* ページ6

「ただいまー」

ガチャリとドアを開けると、そこにいつもの可愛らしい姿がなかった。

「…………」

咄嗟に足元を確認。……靴はちゃんとある。という事は彼女は家の中。
俺は何が起こっているかを悟り、そろり、そろりと忍び足でリビングに向かう。





辿り着いた部屋の中で、愛しの奥さんは丸くなっていた。

「やっべ……可愛い…………」

脳から言葉がそのまま漏れて、俺は片手で口を覆いつつしばしその様子を眺めた。
ソファに置いてあったうさぎのクッションを抱いて、
これ以上は無理ってくらい小さく丸くなってころんと転がっている彼女。

天使か?天使なのか?と思いつつ、放っておく訳にはいかないので近寄る。
この状態の彼女は、少々困った事になっているからだ。
そっとしゃがんで囁いた。

「A」
「んー……りょうた、かえってきた…………?」
「うん、今帰ったっスよ。ただいま」
「うん……」

そこでAはクッションをぽいと放り出し、腕をこちらに伸ばす。



「いっぱい待ってたから……ぎゅーって、して…………」



……危ない。俺が冷静な判断力を放り出す所だった。
ぶんぶんと首を振って、お望み通りにしてあげれば、Aは自分から腕を回してきて。

「ああ、デレデレ最高……」





俺の愛する人は、基本的にしっかり者で冷静だ。
ではなぜこんな事になっているのかと言うと、情けない話だが俺のせいなのである。

モデルにバスケにと芸能界に身を置く俺では、
どうしても彼女と一緒にいられる時間が少なくなってしまう。
Aもそれを分かってくれ、頑張ってくれているのだが、
彼女は寂しさが我慢の限界に達すると突然デレデレになるという癖を持っていた。

常に気を張っている反動とでも言うのだろうか、そのデレの威力は凄まじく、
俺の貧弱な理性を毎回ガクガク揺さぶってくる次第だ。





そんな訳でただいま絶賛デレデレモード中のAだが、今日の俺には秘策があった。

「A〜」
「なんですかー…………」



「なんと!明日は俺、休みなんスよ!」
「うぇ?」



他人が聞けばめちゃくちゃ間抜けな返事だが、俺的にはこんな抜けたAはむしろご褒美。



「明日は思う存分、甘えさせてあげるからね」



A専用100%スマイルで笑いかけると、抱きしめる力が少しだけ強くなったのだった。

*黄瀬涼太にわがまま*2*→←*緑間真太郎にわがまま*2*



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設定タグ:黒子のバスケ , 黒バス   
作品ジャンル:アニメ
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ゆな子(プロフ) - 高尾ちゃん&笠松&黛は一番キタわ。心臓が3ついりますね。 (2019年8月27日 17時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
- 最高でした。赤司くんと黛さんのが特に最高でした。きゅんきゅんしました!!!! (2018年9月4日 12時) (レス) id: 14fcda4380 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 大ちゃんありがとうございます!いつも楽しく読ませて貰ってます!!大ちゃんに萌えましためっちゃ(笑) (2017年9月30日 8時) (レス) id: b6dcf803c3 (このIDを非表示/違反報告)
伊月千歳@白咲智歌(プロフ) - もろへいやさん» そうなんですか!わかりました! (2017年9月24日 9時) (レス) id: e71731f15b (このIDを非表示/違反報告)
もろへいや(プロフ) - 伊月千歳@白咲智歌さん» 大変申し訳ないのですが、こちら残り話数がかなり少ないので、現在リクエストにはお応え出来ません。本文中に明記せず本当にすみません……ご理解頂けると幸いです。コメントありがとうございました。 (2017年9月23日 23時) (レス) id: 0747be2c14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もろへいや | 作者ホームページ:  
作成日時:2017年9月5日 22時

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