*伊月俊にわがまま*2* ページ27
「なるほどな。夢で良かったなあ、それは」
「っでも…………!!」
と、潤んでいたAの瞳から、溜めきれなかった涙がぽろぽろと零れる。
____泣かせてしまった申し訳なさと結婚して初めて見たという記念感が複雑だ。
「わ、ごめんな、嫌な事言ったか?」
「ちがう、ちがうの、
だって、いくらゆめっていったって、そんなゆめをみるってことは、
わたしがそういうことをこころのどこかでおもっちゃってるってことでしょ、
だから、あやまらないといけないのは、わたし」
ああ。そういう事か。やっと理解した。
この可愛いお嫁さんは、偶然見た夢を自分の責任だと思ってるんだ。
「……A」
「……?」
力を入れっぱなしの肩を宥めるように包む。
「その夢から覚めた時、どう思った?」
「……すごく、つらかった。かなしかった、いやだった」
「そっか、良かった。
俺も、おんなじきもち」
そして責任を感じると同時に、
俺が本当にそんな馬鹿な事考えてるんじゃって、不安になったんだね。
「…………っ、しゅん」
「うん」
「ごめんね、ごめんなさい、
わたしは、しゅんのこと、だいすきだから、ずっと、いっしょにいたい、だから、」
ああもう、そんな必死に訴えないでよ。可愛いくて、大事で、想いが溢れそう。
「謝らないで。大丈夫、俺はどこにも行かないよ」
「…………っうぇ、ぅん」
「だって俺、
Aにぞっこんだもん」
「うううう、しゅん〜〜〜」
おそらく眠気と安心感と不安定な情緒のおかげで「あー」「うー」「しゅん」しか
ボキャブラリーを持たない彼女が、どうしようもなく愛しい。「しゅん」が残ってるの最高。
彼女の左手に俺のそれを絡める。
「ここにちゃんと証拠もあるよ…………あらら?」
ふと見れば、Aはいつの間にやらすやすやと寝付いていた。
緊張の糸が切れて、きっとそれまでの緊張もあって疲れていたんだろう。
寝顔はいつもの彼女のもので、俺はなんとも言えない安息感を抱いた。
Aをそっと横たえて、俺は逡巡したのち、目蓋に触れるだけのキスをする。
「次は、飛びっきり良い夢が見られますように」
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ゆな子(プロフ) - 高尾ちゃん&笠松&黛は一番キタわ。心臓が3ついりますね。 (2019年8月27日 17時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
赤 - 最高でした。赤司くんと黛さんのが特に最高でした。きゅんきゅんしました!!!! (2018年9月4日 12時) (レス) id: 14fcda4380 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 大ちゃんありがとうございます!いつも楽しく読ませて貰ってます!!大ちゃんに萌えましためっちゃ(笑) (2017年9月30日 8時) (レス) id: b6dcf803c3 (このIDを非表示/違反報告)
伊月千歳@白咲智歌(プロフ) - もろへいやさん» そうなんですか!わかりました! (2017年9月24日 9時) (レス) id: e71731f15b (このIDを非表示/違反報告)
もろへいや(プロフ) - 伊月千歳@白咲智歌さん» 大変申し訳ないのですが、こちら残り話数がかなり少ないので、現在リクエストにはお応え出来ません。本文中に明記せず本当にすみません……ご理解頂けると幸いです。コメントありがとうございました。 (2017年9月23日 23時) (レス) id: 0747be2c14 (このIDを非表示/違反報告)
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