*実渕玲央のわがまま*2* ページ15
「うーん、これとこれ、どっちが良いかしら?」
「私には……ちょっとわかんないかな…………」
ダークブラウンのフリルワンピースとアイボリーのレースをあしらったワンピースを
交互に当てられながら、私は正直な感想を述べた。
『今日はAちゃんを私がコーディネートしてあげるわよ』
何を買うかと思えば、私の服を玲央のお小遣いで買うと言う。
申し訳ないからと反対したものの、昨日の約束を持ち出されては断れず。
近場のショッピングモールの抱える洋服店を片っ端から回っている現状だ。
「やっぱり、Aちゃんには白ね。決めたわ、こっち」
えり、袖、裾、そして背面と意匠を凝らしたレースに包まれた1着。
玲央が掲げたそのワンピースのタグをちらりと見た私は、
「ワァオ……」
言葉を失った。
「玲央ー、私こんなの着れないよ……」
「たまにで良いわよ。その方が、トクベツ!って感じがするもの」
じゃお会計ね、とぐいぐい手を引かれる。
こういう時、玲央が旦那様____男なんだって事を実感する。
「さて、次に行くわよ。帰ったら早速着てもらうわね?」
「玲央、着れたよ」
「分かった、開けるわ」
カチャリとドアを開けた玲央が________そこで、固まった。
先ほどのワンピースに、今は履いていないがそれと同じ色のストラップパンプス。
編み込み付きで結んだ髪に星の形に差し込まれた金色のアメピン。
白い花のモチーフのイヤリングに、レモン色のショルダーバッグ。
総額は、怖くて計算していません。
「えと…………似合って、る?」
恐る恐る尋ねれば、
「…………ええ、とっても」
近付いた玲央が、壊れ物に触れるみたいにそっと肩に手を置く。
「綺麗だわ」
「……玲央の方が」
言いかけて、言えない。抱き寄せられたから。
「そうやって自分を悪く言っちゃうの、Aちゃんの悪い癖よ。
あなたには私とは違う、あなただけの綺麗さがあるの。私はそんなAちゃんが大好きで、
こんな私を受け入れてくれたAちゃんが大好きで、あなたと結婚したの。
これは、それを分かって欲しいっていう私のわがまま」
少し困ったように笑う玲央。
「受け取ってもらえるかしら?」
「……うん、ほんとにありがと、玲央」
身に付けている物が全部プレゼントだと思うと気恥ずかしくてはにかんだ笑顔を見せれば、
「ふふ、愛してるわ、Aちゃん」
額に落ちた優しいキスが、身体を甘く満たしていった。
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ゆな子(プロフ) - 高尾ちゃん&笠松&黛は一番キタわ。心臓が3ついりますね。 (2019年8月27日 17時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
赤 - 最高でした。赤司くんと黛さんのが特に最高でした。きゅんきゅんしました!!!! (2018年9月4日 12時) (レス) id: 14fcda4380 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 大ちゃんありがとうございます!いつも楽しく読ませて貰ってます!!大ちゃんに萌えましためっちゃ(笑) (2017年9月30日 8時) (レス) id: b6dcf803c3 (このIDを非表示/違反報告)
伊月千歳@白咲智歌(プロフ) - もろへいやさん» そうなんですか!わかりました! (2017年9月24日 9時) (レス) id: e71731f15b (このIDを非表示/違反報告)
もろへいや(プロフ) - 伊月千歳@白咲智歌さん» 大変申し訳ないのですが、こちら残り話数がかなり少ないので、現在リクエストにはお応え出来ません。本文中に明記せず本当にすみません……ご理解頂けると幸いです。コメントありがとうございました。 (2017年9月23日 23時) (レス) id: 0747be2c14 (このIDを非表示/違反報告)
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