【黒バス】きみのわがままがききたい【短編集】

＊火神大我にわがまま＊1＊ ページ2

「明日、休みなんだよな」
「え、そうなんだ！良かったね、ここ数日試合多かったし」

はい、と白飯を大盛りにした茶碗を渡しつつ、私は素直な感想を述べた。



火神大我。
今や誰もが知る所となったバスケ界の期待のホープは、私の自慢の旦那様である。
試合がある日は近場なら応援に行き、遠くならTV中継で見ているが、
やっぱり何度見てもめちゃくちゃ格好良い。TVで見ている時に

「これが私の旦那様なんだぞっ！」

と1人で叫んで満足しているのは墓まで持って行く予定の秘密だ。恥ずかしいね！



さて、いつもならこんな考え事をしているうちにもう一度茶碗が突き返されて来るのだが、

「どうしたの大我？珍しいね、箸進んでないなんて……あ、もしかしなくても疲れちゃった？
今日もすごい接戦だったもんね。お風呂入って良いよ。沸かしてあるか……」
「あ、いや、そういうんじゃねえんだ、うん」
「ううん？じゃあどうしたの？」

おやおや？今日の大我は何というか……

「もやもやしてるね？」
「えっ違ッ、別にいつも迷惑掛けてっからわがまま聞いてやりてえとか思ってねえ！」
「いつも迷惑掛けてるからわがまま聞いてあげたいんだ？」
「あ！！」

ちょろい……ちょろすぎるようちの旦那様…………バスケの時はすごい駆け引きしてるのに……
大我はやっちまった、と大きくため息を吐くと、茶碗を置いて私に向き直った。

「……いつも試合とか遠征とかで、俺は他と比べたらすげー沢山Aの事1人にしちまってる。
だから、何だ、休みで1日家にいる時は、Aのしたい事させてあげてえって、思って……」
「…………ふふ、そう思ってくれてるだけで充分だよ？
強いて言うならむしろ、オフくらいきっちり休んで欲しいかも、なんて」

たどたどしく言葉を紡ぐ大我が可愛くて、それだけで幸せになってしまったから、
そんな風に言ったのだけれど____

「いや、実はチームメイトに
『たまにはちゃんと奥さんといちゃいちゃしてこい』って怒られてもらった休みなんだよ……
証拠写真撮ってこないと何されるか分かんねえ…………」
「ワァオ…………」

まさかそんな所で気を遣われているとは……



「つー訳で、」

そこで大我はぐいと身を乗り出し、私の頭に大きな手をぽんと乗せる。

「Aのわがまま、何でも聞いてやるから素直に言ってくれよな」

眩しいその笑顔だけでまた充分幸せだけど。そんなに言ってくれるなら……どうしようか？

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