現実ってそううまくいかない...わけでもないんだよね～黒バストリップ～Part6 (ページ48)

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(引き続き)優side

｢ボクにできるのはボールをまわすだけです…けど、もう一段階上があります｣
｢黒子の新しいパス…!?｣
｢なんで今まで…｣
｢捕れる人が限られてるんです…けど、今の火神君なら捕れるかもしれません｣

黒子の言葉に、みんなが驚いた反応をする。
今まで本気出してなかったってことになるからな…。驚いて当然だろう。
日向さんが呆れを含んだ視線を黒子に送りながら問えば、あっけらかんと彼は言った。

｢でもパスが火神君だけでは最後までもちません。やはり高尾君のマークを外して通常のパスも必要です｣
｢けど、もういけんじゃね？オレの目もつられそうだし｣

不安そうに呟くように言う彼に対し、笑って言う伊月さん。
伊月さんの言葉に、不思議そうな顔をするメンバー。
とりあえず黒子は大丈夫そうだ。

｢火神くん、あと何回跳べる？｣
｢…?｣

同じく、黒子の方は大丈夫だと判断したのか、リコさんが火神君に訊ねる。

｢緑間を止めたあの超跳躍のことか？｣

首を傾げる火神君に、日向さんが助け船を出すかのように、リコさんに問いかけた。

｢あれは天性のバネを極限まで使うから消耗が半端ないのよ…加えて火神君はまだ体ができてない。一試合で使える回数は限られてるわ。本人も気づいてるはずよ。でしょ？｣
｢そんなん…跳べるぜです何回でも！｣
｢あのね…今は強がりとかいいから｣

日向さんの言葉に頷いた彼女は、説明を加えて火神君に再び問う。
それに対して火神君は、焦ったような目をしているものの意気揚々と言い張る。
思わずため息をついて頭を抱えた彼女は、彼の足を凝視して様子を見る。

｢良くて２回ね｣

彼女の言葉に、彼は唖然とする。

｢筋力値から推測すると、これが限界ね。もし２回目を跳んだら、あとはコートに立ってるだけで精一杯だと思うわ｣

奥歯を噛み締めて悔しそうな顔をする彼。
その拳は、固く握られていた。