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▽優side


火神君に襟首を掴まれているにも関わらず、全く怯む様子もなく、黒子は真っ直ぐした瞳を彼に向けたまま、捲し立てる。


「今の、お互いを信頼できない状態で仮に秀徳を倒せたとしても、きっと誰も嬉しくないです」

「甘っちょろいこと言ってんなよ!そんなん勝てなきゃただのキレイ事だろーが!!」



先ほどよりも気持ちが落ち着いたらしい黒子が凛とした声で彼にぶつけるが、未だ興奮が収まらない彼は喚くように言い返し、黒子を殴った。……筈だったのだが。



大抵、人が本気で殴られた場合は決まって鈍い音がするものである。彼のような力が強い者とかは特にそうなる可能性が高い。
だけど、次に聞こえてきたそれは。


『あのねぇ……だからってやり返すことはないでしょうが』


殴られた拳を、受け止めたような。
ぱしり、と乾いた音だった。



______



▽黒子side



殴られる、と思った。
けれど、自分の言ったことに後悔はしていない。
そもそも、彼との体格差に違いがあり過ぎる。
もしかしたら、吹っ飛ぶかもしれない。

目を閉じる間もなく、彼の拳が迫ってきた。






「……?」


いつまでたっても衝撃が来ない。ましてや、痛みもない。


ただひとつ、わかるのは


『あのねぇ……だからってやり返すことはないでしょうが』
「茶川、さん……」



庇われた、ということ。
付け足して言うなら、女性に。

眼前には、今にも当たらんとする拳が、確実に彼のそれよりもふたまわりほど小さな掌に収まっている。


「………」



……なんというか。物凄く男としての権限を奪われた気がするというか…



『体格差ってもんがあるんだからさ……本気で殴ってどうすんだ。
あと……火神君。君は、感情だけでしか行動できないんですか?』

「なっ……」



茶川さん、あなた結構言いますね。
面食らった彼…火神君に彼女は静かに言う。



『確かに、勝たなきゃ意味ないかもしれない。けど、みんなで力を合わせて勝つことってそんなに難しいことかな?

…君だけが頑張ってるわけじゃないんだよ』

「…っけどよ!俺じゃなきゃ……!!」

「…俺じゃなきゃ、勝てないって?」


彼女の言葉に納得がいかないのか、尚も食い下がろうとしない彼の胸ぐらがつかまれた。
………まさかの拓君だった。

〃→←〃



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藍斗 - おもしろかったです! 更新頑張ってください 応援してます! (2016年9月10日 11時) (レス) id: 74bee11643 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユキ | 作者ホームページ:  
作成日時:2016年6月4日 10時

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