39.嫉妬心 ページ40
竜｢乃木修一に会えたんだね｣
竜くんは手を離し振り返ってそう言った。
その顔はいつもの優しい竜くんの顔で、私は少し安心した。
A｢うん！あっちで色々なことが起きてさ〜｣
登校中、私は時間が許す限りイギリスで起こったことを竜くんに話した。
竜くんは中学生の頃から一緒に居てくれて、いつも親身に私の話を聞いてくれる。
村でのことも、乃木のことも、竜くんには全て話すことが出来る。私はそれくらい竜くんのことを信頼しているのだ。
竜｢充実した夏休みを過ごせて良かったよ
僕はAが居なくて寂しかったなぁ｣
眉を下げて竜くんは私の目を見つめてきた。
竜くんは初めて会った頃からこういう冗談を言ってくる。
A｢はいはい、竜くんのその手には乗りませんよ〜｣
竜｢あれ？だめだった？
お詫びにアイス買ってもらおうと思ってたのに｣
A｢アイスくらいいつでも買ってあげるからさ｣
竜｢ふふ、やった｣
私たちは冗談を交わしつつ学校へと向かった。
ーーー
ぱらぱらと卒業アルバムをめくっていく。
自分とは違ってちゃんとした学校生活を送っているAの姿を見て、これを近くで見たかったなという気持ちが出てくる。
乃木｢それにしてもさー…｣
どの写真を見ても、Aの近くにはさっきの…鬼灯竜が写っていた。
みんながカメラ目線の中、鬼灯竜だけがAのことを見ている。
もし俺がAと同じ中学校に通ってたら、先輩後輩としてここに写ってたんだろうな。
そんな妄想をしながら卒アルを1ページ、また1ページと見ていく。そんな時、1つの写真に目がいった。
旅館のようなところで浴衣を着ている2人がポーズを取っている写真。それだけなら普通の写真だった。
乃木｢はぁ…？｣
竜はAの腰に手を回し自分の方に寄せてポーズを取っていた。これにはAも意識せざるを得なかったのか、顔を少し赤くして俯いていた。
嫉妬心がふつふつと沸いてきた俺は、卒アルを速やかに直して外に出る支度をした。
ーーー
始業式が終わり、課題の提出と今週の予定表を渡されその日は解散となった。
私は同じクラスの竜くんに声をかけてから正門に向かうと、なぜか女子が群がってざわざわとしていた。
｢あの人かっこよくない？！｣と聞こえてきたので多分イケメンでもいるんだと思う。
乃木一筋の私は気にせず正門を出ると、誰かに声をかけられた。
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作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
