3口目 ページ3
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キーン…コーン…
カーン…コーン…
放課後。
皆が部活動に勤しむ中、陰キャの俺は勿論、帰宅部。
今日は5限終わりだし、昨日は病院寄ったから…
よし、さっさと帰ってゲームしよ。
俺は鞄の中に教科書やらプリントやらを詰め込んで、自転車置き場に向かった。
ちなみに、俺の自転車の番号は666。
…こんないらない奇跡ある?
自転車まで悪魔の番号って。
もう一日中悪魔悪魔で頭おかしくなりそうだわ。
と言ってる矢先に、出ました悪魔イル。
……なんで先に俺の自転車見つけてんだよ(怒)
いや、つかなんで番号知ってんの、こわ…
「お帰りなさいませ、ご主人様。」
「…あー、はいはい…
てか、なんで自転車の番号知ってんの…?」
「ご主人様が教室に入られる前に自転車のキーを廊下に落としていましたので、一時的に預かっていたんです。
その時にちらりと見えたもので。」
「…はっ?落とした?
俺今、持ってるけど
…ほら、鍵。」
「ですから、 一時的に 預かっておりましたので。
数学の時間には鞄の中にお返ししましたよ。」
あぁ…
妙に俺の近くに居るなと思ったら、そういう事だったのか…。
「…そ、そう…。」
俺は鞄から出した鍵をそのまま自転車に差して校門まで押していき、人通りが少なくなったところで漕ぎ始めた。
すると、それまで隣で歩いていたイルが小さな爆発音を立てて姿を変えた。
服装はスーツから執事の様な服装に変わり、耳はとんがり、背中には蝙蝠の羽、腰には先の尖った尻尾を生やし…
まさに、絵本で見る「 悪魔 」の姿だ。
実はもう、数日前からこの姿を知ってはいるものの、やはり見慣れはしない。
なにより、人間から掛け離れたその姿には毎度驚かされてしまう…。
夕焼けの中、自転車を漕ぐ俺と隣で飛ぶイル…
「…いや、並走しないでくれる!?
めちゃくちゃ気持ち悪いんだけど!!」
「ご主人様のお傍を離れる訳にはいきませんから…
あ、普通の人間には私の姿は見えていませんので、どうか御安心を。」
「いや、そういう問題じゃない…」
イルは隣でバサバサと羽ばたきながら、手元は優雅に眼鏡を拭いている…。
なんか腹立つし羽音も煩いし…
この時間帯は夕焼けが綺麗なのに、こいつのせいで全く景色見れなかったよ…
もう早く家帰りたい…
俺は静かに自転車のギアを1段階上げた。
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作者名:みゅん | 作成日時:2020年4月25日 8時