十四挺:火枝 ページ15
ー動けない。
顔から血の気が引いていく。
この世のものでないことは確か。
しかしそれ以上に
どす黒い空気が男を中心に渦巻いているように見えた。
笑顔だが、
その細い目の奥で
何を考えているのかわからない。
とにかく、目の前の男からは
今までにないものを感じた。
ー怖い。
純粋にそう思った。
＊)「やっぱ君も俺のこと見えるんだね。凄いね ここの家の人たち・・・
君、さっきのおばーさんのお孫さん？」
こちらの心境など御構い無しに
男は私に話しかけてくる。
言葉が出てこなくて固まっている私に
彼は微笑む。
＊)「俺、火枝(ひえだ)っていうの。君は？」
優しい口調だった。
しかしそのフレンドリーさが逆に怖かった。
A)「・・・・」
やはり私は何も返せず
その場に立ち尽くす。
すると火枝という男は
苦笑した。
火枝)「実体化して話しかければ大丈夫だと思ったんだけど・・・
だめだった？俺のこと怖い？」
A)(・・・・実体化？)
そういえば
この男、棕櫚の前では「影」だったはずなのに
今の姿は普通の人間である。
猫のように細い目
後ろで束ねた髪
ボロボロの着物。
「実体化」してもかなり怪しい出で立ちだが。
火)「まぁそんなに怖がらないでよ。
取って喰ったりはしないから」
そう言って彼はからから笑った。
私はその様子を見ながら
部屋にひとり残してきた棕櫚のことを思い出した。
この男、先ほど言ったように
何を考えているのかわからない。
もし私たちに取り憑くつもりだとしたら、
うっかり部屋までついて来られれば恐ろしいことになる。
今すぐにでも家の外へ追い出さなければならない。
そして
棕櫚を巻き込みたくない。
自室から離れた
この小さな部屋。
私だけで
この状況を何とかしなくては。
すると男が急に笑うのをやめ
何かを思い出したように私の方を見た。
火)「そういえばさ、
おばあさん大丈夫だった？」
A)「ー！」
彼は心配そうな眼差しを向けてくる。
火)「ほんとは助けなきゃって思ったんだけど
俺も除霊されかけてて逃げるのに必死だったのよね。
・・・病気か何か・・・？」
唐突に祖母の話題になり、
この男を追い出す計画とか考えてた頭が
どんどん ばぁちゃんのことでいっぱいになっていった。
A)「違う・・・私のせい」
気づいたら、
布団抱えたまま床に座り込み
固く閉じていた唇を
開いてしまっていた。
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スズラン(プロフ) - アーシェ£さん» いえいえ！ですが、楽しみに待ってます！ (2015年5月11日 18時) (
レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - スズランさん» すみません今週中には更新いたします！ありがとうございます！ (2015年5月11日 18時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - いつ更新されますでしょうか？続きが気になります！ (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - 白紙さん» ほんとですか！嬉しいですありがとうございます！頑張ります^^！ (2015年1月10日 11時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
白紙 - すごい読みやすくて面白いです！投稿頑張ってください。 (2015年1月8日 12時) (レス) id: 28fb1f4f57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：逃避 x他1人 | 作成日時：2014年10月27日 1時
