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十五挺:微笑 ページ16

小さいころから
祖母には迷惑ばかりかけていた。


お祓いしてもらった回数なんて数えきれない。


私が
祖母から元気を奪っていたんだ。


自分の身は自分で守らなきゃいけないのに。


ただ霊体を呼び寄せるしかできない能力なんて
誰の役に立つのだろうか。


まるで虫寄せライトだ。
いや、まだライトの方が使えるじゃないか。

それなら私は蛍光灯以下だ。


あぁもういっそのこと消えてしまいたい。

ばぁちゃんごめんなさい。
私が代わりに倒れればいいのに。



A)「・・・はぁ・・・」



今の状況をすっかり忘れるほどの
自己嫌悪に陥っていた。


火)「大丈夫?大丈夫?」




気が付いたら
目の前にいたはずの男が
私の隣で正座していた。


私が急に体調を崩したのかと思っているらしく、
しきりに背中をさすってくれている。



A)「!? えっとっ」


「大丈夫です」と小さく言いながら
相手から離れた。

意外と男の手が暖かくて驚いた。


すると、突然尋ねられた。


火)「君、今
「私のせい」って言ってたけど
・・・どうして真っ先にそう思ったの?
普通 俺が君のおばあさんに呪いをかけたとか考えるのが無難じゃない?」


彼は私に近寄って
顔を覗き込んでくる。


A)「・・・え?」


私の自己嫌悪をひっくり返すその考えに
しばらく言葉を失った。


その細い猫のような眼は
やがて苦く微笑んだ。



火)「実際、俺は彼女には何もしてない。
でもそのときの状況を知らない君は
まず最初に俺を疑うはずだ」

「それなのに君は、
どうして自分のせいだと思ってるの?」


男は
細めた眼をゆっくりと開いた。


その瞳は赤黒く、現実離れしている色だった。

しかし霊体に見つめられたときに感じる
あの嫌な雰囲気は全くなく、

むしろ引き込まれるような純粋さがあった。


彼としばらく目を合わせていたが
ふと我に返り、慌てて返答する。



A)「だ、だって、それしか考えられないから・・・」


すると男は
くすくすと微笑った。


火)「優しいね。
・・・でもあんまり自分責めちゃダメだよ
さっき「死にたい」って言ってたでしょ」


!?



さっきの聞かれてたんだ・・・。


ネガティブな独り言を聞かれていた恥ずかしさでわなわなしてしまった。



しかしその空気は一瞬にして凍る。






火)「俺、死にたがってる娘見るとほっとけない体質なの。
・・・お手伝いしたくなっちゃう」





そして男はまた微笑った。

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スズラン(プロフ) - アーシェ£さん» いえいえ!ですが、楽しみに待ってます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - スズランさん» すみません今週中には更新いたします!ありがとうございます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - いつ更新されますでしょうか?続きが気になります! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - 白紙さん» ほんとですか!嬉しいですありがとうございます!頑張ります^^! (2015年1月10日 11時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
白紙 - すごい読みやすくて面白いです!投稿頑張ってください。 (2015年1月8日 12時) (レス) id: 28fb1f4f57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:逃避 x他1人 | 作成日時:2014年10月27日 1時

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