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CMの映像が出来上がったと確認しにESに向かった。
この後はマネと一緒に、シナモンでこはくと夕飯を食べる予定だ。
今日は零くんはラジオの仕事がある。
映像はイヤホンのアップから音楽が流れ、あたしのドラム演奏に繋がる。
そしてラストに通話しているあたし。
ナレーションが一言だけ、通話も音楽も楽しもう。
「嘘っ!このナレーションて?」
「A、この声優さん好きでしょ〜?こそっと名前上げたら使ってくれたよ。プロデューサーがね」
「最高じゃん!これあたしにも焼いてっ!」
「大事に初メディアとっておきなよ」
「にしてもこれCMにしては長くない?」
「ショートとロングバージョンがあるね。大元の会社が商品売り出す時はロングの方を使ったりするからね」
「そうなんだ?」
「あれ?興味なくなっちゃった?」
「どっちも焼いてくれたらいいよ。満足!これしっかりしてるよね?イヤホンのくせに大きいし?」
「好きな人にはたまらないだろうね?高いよ、それ」
「やっぱり?みんなが簡単に買えるお値段じゃないよね〜、お腹すいた〜もう帰れる?」
「俺の帰り支度済んだらね」
そろそろ向かうよと連絡を入れると、早く着いたら中で待っててと返信が来た。
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飲み物を飲んで待っていると、少ししてこはくが到着した。
「最近忙しそうやったね?」
「退屈しなかった学校?ごめんね」
「しょーがあらへんよ、みんな学校なんてそないなもんやろ?Aも体力あらへんやろうし」
マネが映像見る?とPadを出してみせると、楽しそうにそれに食いついて見ている。
そこにオーダー取りがてらニキくんも見に来た。
「随分とかっこいい映像になりましたね?いや〜見てるだけで体力消費しそうっすよ!」
「...確かに。レッスン終わると爆睡だったね」
オーダーを済ませてご飯をのんびり食べた。
ずっと穏やかで文句の1つも言わないこの子は、物分かりが良すぎなんじゃないかと思う。
あたしの最近の話ばっかりしてる。
帰り際に零くん用のホットサンドを頼んで待っている時にやっと言われた。
「A...お昼一緒に食べられへん時は連絡してや?」
「ごめん!心配した?」
「そうやな...少しだけな?」
「ちゃんとするよ。撮影忙しくても連絡くれていいのに」
「待っとったんか?」
「どっちから入れる決まりとかもないじゃん」
「ほんなら明日は屋上来てや?」
「うん。一緒に食べよ」
頬にやんわりキスをすると送ってくれた。
決まってはいないけど、お互い連絡待ちだったらしい。
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作者名:馨 | 作成日時:2020年8月26日 4時