あんスタ～大好きな兄弟～【朔間零・凛月】 (ページ33)

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３３　＋α ページ33

ファーストキス。
それは女の子なら誰もが記憶に残っていたり、それはそれはとても淡い思い出なんだろう。

よく一緒に寝たりしても、あたしはそういうシーンを映画などで家族と見るのは苦手だ。
これはもう巴先輩でもこはくでもあのマネでも一緒には見れないと思う。
恥ずかしいより、なんとなく嫌かなって。

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りっちゃんが泊まりに来ていた時に映画を観ていた。
りっちゃんはソファーに横になり、ソファーに寄りかかっていたあたしはりっちゃんの片腕に拘束されている。
零くんは観てないのか、本に目を落としていた。
恋愛映画に興味がないからサスペンスを選んだのに、何故ラブシーンが入るんだっ！

さり気なく停止ボタンを押してお風呂の後にしようとした時...
「何だよ、その年にもなってまだお前恥ずかしいのか？」
「長くなりそうだし？」
「お前いつもリビングから居なくなんじゃねーか」
確実に零くんは面白がっている。
「恥ずかしいわっ！映像じゃないからね？それを憧れる女の子の顔なんて家族に見られたくないもんっ」
正直に話さなければ、零くんの揶揄い衝動は止まらない。
へ～と背中越しに聞いた後、耳を疑った。
「もう、終わってっけどな」
あたしが立ち尽くして、お父さんだろうかと考えていると零くんは笑い始める。
「誰か知ってるんでしょ！教えて！お父さん？」
「親父はお前のほっぺ止まりだな」
「りっちゃん？」
「俺と凛月。3歳のお前がしてくるのは、そりゃもう可愛かったからな」
3歳か...ならいいか、と諦めようとお風呂に向かった。
でもそこは零くんだ、起きたりっちゃんにも話したんだろう。
「なんか疲れが取れなくてダルいんだよね～Aの“おまじない”してよ～？」
とにかく、りっちゃんがしつこい！

後日りっちゃんはDVDを持ってきて再生した。
流れたのは幼い頃の兄妹の姿と微笑ましい母の声。
「りっちゃん痛いの？」
「痛くないよ」
「したら治るの！してあげるね治るよほんと！」
必死なあたしを横で見ている幼い零くん。
そこであたしは...ぶちゅーとかました。
そしてそれを見ていた零くんも疲れたからしてと、3歳のあたしは信じたんだろう、してあげていた。
本当にしつこいくらいに、りっちゃん明日良くなるよ！と。

「ね？またおまじないしてよ～明日元気にライブできるんだけどな～」
膝の上で甘えるりっちゃん。
「嫌。面倒くさそうな顔してた癖に」
「じゃ、寝てる時にしちゃお～」

あぁ～この兄達ならしかねない。
...完全に鬱だ。