【◇】成宮鳴は一途らしい。

８．鼻歌 ページ9

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バタンッと勢いよくロッカーを閉めた。
一斉に俺に集まる視線にきょとんとする。




「やけに機嫌よくねぇか？」




カルロが俺に近づきながら
不気味そうにそう言って顔をじっと見る。

白河もカルロに便乗して
「気持ち悪い…」とつぶやいてる。

おい白河、聞こえてんだからね。




「そう！？ やっぱわかっちゃう！？」

「なんかあったのか？」




「カルロには言わねー」
とそっぽ向くと今度は標的を樹に変えた。

先輩って権限使うとか最低だね！ 俺そんなことしない！(※します)




「…あ、好きな子に再会したっぽいです」

「樹なに勝手に｢｢へぇ〜？｣｣……」




途端に、部室で着替えてた部員全員が俺を見てニヤついた。

白河なんか舌打ちしたし。なんなの。




「わがままエースも可愛いとこあるじゃねぇか」

「ずっとそのままでいてくれ！」

「性格知ったら幻滅だな」




誰が言ったのかをこの俺がわからないと思ってんのかなんなのか。
心のない言葉が飛び交う。

ムカつくけど今日の俺はそれ以上に機嫌がいい。
指輪までもらっちゃったからね！

寛大な俺はこんくらいじゃ怒んないから！




「お前ら彼女もできねぇからって妬かないでよね！」




「「彼女ォ！？」」

「…にする予定！」




ホッと胸を撫で下ろす奴らを見てから、
部屋に戻るためドアノブを握る。

クルッと振り返って
「じゃ、次Aが見に来た時は俺の練習引き立たせてよね！」
と言うとブーブーとブーイングの嵐。

ぷぷ…と笑いながら鼻歌交じりに部屋に戻った。




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