近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ10)

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気まずい。しーん、としている。俺の座った場所が少し悪い。目の前にマレウス先輩がいてその隣にリリア先輩。みたいな順で円状に座ってる。さっきからマレウス先輩の視線が痛い。なんか、顔についてるのかな。でも、聞くとか勇気ないけど。

「美味しいね。A君」

えぇ、俺に振りますか。俺そういうの得意じゃないんだが。

「そうですね。とっても美味しい紅茶です。ね、カイラさん」

物凄い嫌そうな顔されたけど俺にはこの気まずさをどうする事も出来ない。マレウス先輩の方見ても確実に目が合う。俺なんかまずいことしたっけ？あ、夕食時の事かな。でも、この空間で言えるほど肝は据わってない。リリア先輩の方を見たら楽しそうに笑ってる。何が面白いのか。

「A」

「は、はい」

マレウス先輩に呼ばれて体が強ばる。見ると優しく笑ってる。

「リリアから聞いた。持病があるようだな。大丈夫か」

「あ、はい。大丈夫です。心配かけてすみません」

「そうか。何かあれば僕かリリアに言ってくれ」

「ありがとうございます」

そこからはまた静かにお茶会をして解散した。エイナさんとカイラさんから少し話があると言われて俺の部屋で話す。

「えっと。A君のヒートの期間が基本的には月末から月初めなんだよね。それで、3ヶ月に1回のペースで期間がズレることあるよね」

「はい」

「それが今月なんだけど。通常通りにズレるのであれば2週間後の今日から始まるんだよね。それで、昨日渡した書類に書いてある通りヒートが始まったらマンションで治療するんだけど。もし、早くに始まったりとかしたら勝手に入ってね」

そう言われて鍵を渡される。マンションは誰も使っていないそう。カイラさんが有名な魔法士族で金持ちで夫婦で住んでる家とマンションを所有してる。金持ちすげぇな。鍵を鞄の中に入れて2人を寮の門扉まで送る。

「薬は基本的に1日で切れるから気をつけてね」

「何かあったら直ぐに報告しろ」

「はい。ありがとうございます」

2人を見送って自分の部屋に戻る。そろそろ薬が切れる。服用しながらたまに考える。運命の番について。Ωは好意を抱くαやβに対してフェロモンを撒き散らす。生憎、俺にはそういう人がいない。けど、そういうの関係なしで濃いフェロモンを撒き散らしてしまう対象者が運命の番。
俺が飲んでるこの薬は第2性を分からなくすると同時にΩの性質を無理矢理隠す。だから、薬が切れてΩの性質が戻ると体が勝手にフェロモンを撒き散らす。