近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ2)

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消えてしまいたいと思った。自分が憎んでるαやβになりたいと思わない。Ωにだってなりたくないとも思った。ただ、死ぬのが怖かった。1度飛び降りた時にまだ生きたいって思った。人間はしぶとくて。死にたいと思ってもいざ死に直面すれば生きたいと願う。誰よりも。どの種よりも我儘で。弱く。狡い。だから俺は死なずに自分の足で自立して一人で生きていくと決めた。運命の番なんて要らない。俺は1人で生きていく。

「Ωも幸せを感じてもいいよな…」

ベッドから起き上がって階段を降りると母さん達の話し声が聞こえて。その場に腰を下ろす。

「Aやっぱ行かないよな」

「そうね。魔法がどれだけ使えててもあの子のレッテルは補え切れないわよ」

「私達が同じ年齢だったら良かったんだけどなぁ。ナイトレイブンカレッジならまだ良くない？」

「けれど、あの子自身が行きたいと言わないと」

「けど、あそこならA以外のΩはいるだろ」

「あんた達Aを魔法学校に連れていきたいのは分かるけどΩの出席率は1%にも満たないのよ」

俺以外のΩがいるなんて知ってる。けど、殆どが入学拒否や登校拒否。名門校にΩばかりが集まる訳ない。8割がαだ。1.5割位でβ。残りがΩ。そんな中に自分から行くなんてただの自殺行為。魔法学校は優秀な人材が集められる。魔法学校に行ったΩがどうなるかなんて安易に想像ができる。もし、運命の番が見つかればまた面倒。俺からしたら要らないものをわざわざ身の危険を呈してまで探しに行くほど野暮じゃない。

「まぁ、Aの好きにさせてあげましょう」

「そうだな」

「そうね」

俺の心に刺さる。優しくされるとどうしたらいいのか分からなくなる。自分をより一層汚く見えて嫌になる。もう寝よう。確かキッチンに用があったけどもういい。自分の部屋に戻ってベッドに転がる。もし魔法学校に行けたら。なんて妄想は見飽きた。普通の行きたい高校に行って俺はこれからどうして行こうかな。微睡みの中で俺もαだったらな。なんて叶わない事を思った。

真っ暗な狭い所にいる。かれこれ10分近く。体が痛いと思って目を開ければ狭い箱のような所に入ってる。なんとなく察しは着いた。兄さんの母校ナイトレイブンカレッジか。姉さんのロイヤルソードアカデミーのどちらかだろう。入学拒否の手続きは母さんがしてくれてるんじゃないのか。いや、違うな。母さんがそんな事をするはずが無い。無理矢理連れて来られたのだろう。

「最悪…」