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ガタッ。重い音を立てて蓋がゆっくりと開く。黒を基調とした広い場所。ナイトレイブンカレッジか。周りを見れば楽しそうに笑ってる生徒達が何人もいる。幸い俺はヒート期間じゃない。学園長を探しに出て行こうとすると誰かに腕を掴まれる。
「次は君の番だ」
「すみません。俺の前にこの子じゃないですか?」
赤髪の人に腕を掴まれそう言われたが俺の前に1人生徒がいる。嫌な予感がして腕を振り払って出ていく。どこに学園長がいるのか。
「お久しぶりですね。Aさん」
「学園長…」
「私の事はクロウリーと呼んで頂いて結構ですよ?」
「遠慮しておきます。それより俺を家に帰してください。母から入学拒否の書類を受け取っているはずです」
「えぇ。受け取りましたよ」
「じゃあ、なんで…」
「Aさんの魔力は大変珍しいものなんです。それを我が校に持ってこさせるのは当たり前です」
「俺の意見はどうなるんですか」
「Aさんのお兄様がご入学なさった時に入学したいと仰っていたではありませんか」
「いつの話ですか。俺はΩなんです。早く帰らせてください」
「大丈夫ですよ。Ωの設備は整っています。誰にもバレずに在学出来るでしょう」
その根拠なんてない。獣人や妖精族にはバレるに決まっている。あいつらはどの種よりも鼻がいい。それにΩだからって区別されたりするのは癪に障る。
「そんなのどうでもいいんです。俺は普通の高校に行きたいんです」
「そんなにも魔力を持っていて?宝の持ち腐れですよ」
「それでもいい。俺はもうαと関わりたくないんだ。だから、学園長とも話していたくない」
「おや。それは悲しいですねぇ」
学園長だってαだ。ヒートになった時に助けてくれる人が今は誰もいない。そんな環境で過ごすなんてことは出来ない。学園長が指を鳴らした。何かの魔法が来るのかと思ったら保健医が現れた。
「初めまして。A君。僕はΩです。ここでもう1人のαの先生と保健医をしています」
「は、初めまして」
「僕ともう1人の先生でA君の学園生活をサポートさせていただきます」
そういうことか。多分もう1人の保健医はもう番がいるんだ。いくらサポートされても嫌悪感が払拭される訳でもない。
「Aさんのお母様が仰っていましたよ。もし叶うのであればあなたを魔法学校に連れて行ってあげたいと」
そんなの知ってる。けど怖いんだよ。またいつ襲われるかなんて分からない。危険と隣り合わせの学園生活なんて嫌だ。
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ピピ - やばいぐらい主人公が好みです! (2020年6月4日 16時) (レス) id: de2e77a72a (このIDを非表示/違反報告)
伶(プロフ) - おっふ(^^) (2020年6月3日 0時) (レス) id: 472a16cc4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:田中 | 作成日時:2020年5月30日 11時