〈歌い手〉〈KZ〉月の光に照らされて〈トリップ〉

ｍｏｏｎｓｔｏｒｙ ページ8

僕はいつも道理部屋でパソコンと向き合っていた

カタカタという音だけが部屋に響く

時々、猫たちの移動する音と鳴き声が聞こえるからそこまで寂しさは感じなかった

「ふぅ...」

目が疲れたため、一度パソコンから目を離し、伸びをする

窓に目を向けると、やけに明るかった

「あぁ、スーパームーンの日だっけ」

少しだけ空いたカーテンからでも綺麗に輝いている

まるで、夜の木漏れ日みたい

なんて変なことを考えながらカーテンを開く

眩しいくらいの光が部屋を包み込んだ

「そうだ...」



カシャッ



趣味のカメラで撮ってみる

窓越しだと物足りなくて、ベランダに出て撮った

まだ寒い季節だけど、そんな寒さも月が温めてくれる気がした


「いつか僕もこの月みたいに輝いて、たくさんの人を包み込めたら...」


自然と見とれてしまうこの月の光みたいに、綺麗に輝きたいな

そんなことを考えていると、猫たちが鳴いた

「あぁ、ごめん。寒かったね」

窓を開けたままだったため、冷気が部屋に入ってしまったのだろう

一度窓を閉め、また写真を撮り始める

「いろんな角度から...だっけ...」

最近習ったばかりの写真の撮り方を思い出しながら撮っていく


すると...



助けて...!



「！？」

驚いて辺りを見回す

誰もいなかった

でも、確かに声がして...




お願い...もう嫌なの...連れ出して...




また聞こえた...

「誰か、誰かいるんですか！」

叫んでみたけど返事はなかった



そんな不思議な感覚を覚えながら部屋に戻る

戻ると猫たちが不思議そうに見てきた

「なんか...おかしい？」

「おかしな事が起きたんだ。誰かの声がする...」

きっと疲れてるんだ


そう思って、今日は寝ることにした

今日はやけに静かなようで、時計の音が大きく聞こえた





月は僕を照らしたままだった

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