【WT】唯我尊に生まれましたけども2【出水寄り】

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(出水公平視点)

菊地原曰く、今日は父親が仕事で明日まで帰ってこないらしい。
見舞いに行くには今日しかないのだと。

「というか、俺尊の家どこにあるか知らねぇんだけど…」

「ぼくも知りません
でも行きたいって言ったら迎えの車送るって」

…菊地原、仮にも見舞いに行くのにその怪我人に車手配させるって…良いのか？

「あ、因みに出水さんが行くのはサプライズなのでメールで伝えたりとかしないでくださいね」

「えっ」

菊地原が何を考えているのか分からない。
尊はいつも初めてできた一番の友達！と菊地原の話をよくしてくれる…が、俺が見ている菊地原と尊が見ている菊地原は別人なんじゃと疑いたくなる時が多々ある。
…いや、尊の中で『友達フィルター』が菊地原にかけられているんだな。

そんな事を考えていれば黒塗りの高級車に乗せられあっという間に豪邸の前に着いた。

正直現実逃避してた。

何故菊地原はこんなに冷静なのか。

屋敷の大きな扉を、使用人と思わしき人達が開けてくれる。

「菊地原君いらっしゃっ…い？！
い、いず、出水せ、先輩？！なんっ、なんで、へぁ？！」

そこには松葉杖をつき、顔に沢山の切り傷の跡が残っている尊の姿があった。

「ききききき菊地原くん？！出水先輩が来るなんて聞いてないよ？！」

「言ってないからね」

「ああああああの時の仕返し？！まって、あ、え、あぁぁあど、どうっ、どうしっよっ」

あまりにも狼狽える尊に、来ない方が良かったのかと焦る。

「悪い！尊が心配で…そしたら菊地原が誘ってくれたから来たんだが…迷惑だったか？」

「い、出水先輩…っ！！」

俺が謝れば、尊は瞬間的にブワリと涙を流した。

「尊？！」

「ち、違うんですっちがうんですぅ！！い、出水先輩にずっと会いたかったんですけど、顔見たらっ、あ、安心して泣いちゃうのっ、自分でも分かってたからぁっ」

わんわん泣き出す尊に驚く。

「こんな傷だらけの情けない姿見せたくなく、って、な、泣き虫だしっ、うっ、ひくっ、せめて顔の傷だけでも治してから会いたかったのにぃ〜！！
これで出水先輩に幻滅されたら生きていけない〜！菊地原君のせいだぁ〜！！」

子供みたいに泣きじゃくりだした尊に、菊地原は「怪我してから情緒不安定なんですよ」と冷静に説明してきた。

「出水先輩には嫌われたくないですぅううっ」

びえー！と泣きながらなんとも可愛いことを言う後輩に、そういう意味かと納得する。

俺は尊の頭に手を伸ばした。

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