84 ページ35
(菊地原士郎視点)
「尊も肉まん食べるなんて珍しいね」
「肉まんじゃないよあんまんだよ〜…ほら、せっかく友達と一緒に居るなら同じもの食べたいじゃん」
「発想が相変わらずぼっちの願望ガチガチで引く」
女々しさに溜息をつく。
「ゔぅ…」
「しかもあんまんなら同じじゃないし」
「菊地原君はどうしてそう水をさすかなぁ?!」
コンビニ近くの公園で並んで食べる。
尊は昔から『友達ができたら一緒にやりたい事リスト』に、小学生の頃から思いつく度ノートに書いて寂しさを紛らわせていたらしい。
その行為が寂しい奴と言ったらじゃあ菊地原君が願望叶える手伝いしてよ!!と泣きつかれた。
…ぼく尊に泣きつかれてばかりだな。
いや、尊が直ぐ泣くのか。
どうでも良い雑談を交わしながら、アイスを食べ、肉まんを食べ、ぼーっとする。
「あ、そういえば尊の言ってた通りの隊服と隊章になったね…風間隊」
「え?…あー!僕が当てずっぽうで言った奴!菊地原君に言われるまで忘れてたや…」
「…尊って変なとこで抜けてるというか…あんなにムキになって当ててやるとか言ってたくせに、戦闘が楽しみでノーリアクションだったもんな…やっぱりバカだ」
公園のゴミ箱に、ビニール袋に包み紙を詰めてボールにして、投げる。
吸い込まれるようにゴミ箱の中に入った。
それを見届けて、立ち上がる。そろそろ家に帰って、学校の宿題終わらせて…あと、寝たい。
「じゃあぼく帰るから」
「うん、お疲れ〜」
尊はこの後また基地に戻って訓練なり模擬戦なりするんだろう。
ヒラヒラ手を振る姿すら絵になっている。
美人は三日で飽きる、なんて言葉があるが、尊の場合見るたび、うわっ、美人だ…って引くから飽きはない。解せないなぁ。
公園から足を踏み出した、その時だった。
「っ、菊地原君!!」
「、な、なに…」
さっきまでゆるっゆるの空気だった尊が、切羽詰まった声で僕の名前を呼ぶ。
振り向くと、顔を真っ青にさせた尊がこちらに向かって走ってきていた。
そのまま、ぼくの手を掴む。
「ちょっと、急にどうしたの、顔やばいよ」
「わ、わかん、ない…でも、ダメ」
「は?」
尊は震える手で、しかし絶対離さないと言わんばかりにぼくの腕を掴み、その場にしゃがむ。
これって、もしかして実は相当やばい…?
「ねぇ、救急車呼ぶ?」
「分かんない…分かんない、けど…
行っちゃだめ…」
会話が成り立たない。こんな尊を見るのは初めてで、僕は酷く困惑した。
353人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アップルパイになりたい(プロフ) - 更新待ってます! (2023年1月30日 15時) (レス) @page46 id: fcb69bf060 (このIDを非表示/違反報告)
例のやつ - 面白くて腹筋痛い…続きをお待ちしております! (2021年11月7日 21時) (レス) @page46 id: 5d3b9960b6 (このIDを非表示/違反報告)
そらちゃんです!!(プロフ) - 応援してます! (2020年6月19日 10時) (レス) id: c4f3cb5b0b (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 面白すぎて1話から一気読みしちゃいました!笑 更新待ってます!頑張って下さい! (2019年11月2日 17時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ豆(仮)(プロフ) - 更新待ってます! (2019年5月11日 22時) (レス) id: 97b4437434 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こんにゃくの様な何か | 作成日時:2019年3月11日 18時