【WT】唯我尊に生まれましたけども2【出水寄り】

81そろそろSEが分かりそうですけども ページ32

(菊池原士郎視点)

「…で、真っ先にぼくに自慢しに来たってこと？ほんと友達居ないよね」

「だって出水先輩が師匠なんだよ？！出水先輩が！僕の！師匠！！」

本部に調子の悪いトリガーを預けに来たらこれだ。ついてない。

尊は興奮した様子なのに、小声で叫ぶところを見ていると、変なところで律儀だし器用だなと思う。別に大声でも構わないのに。

いつもは友達が居ないという言葉に食いつく癖に、それも気にならないぐらい嬉しいんだろう。

「バカだバカだとは思ってたけどさぁ…自慢って、相手が羨ましがらないと成立しないんだよ？知ってた？」

「僕が菊池原君に話したかっただけだから良いの！」

満面の笑みで言いきる尊に、なんとなくムカついて頬を引っ張る。
尊はほんの僅かな痛みでも泣くぐらいヘタレだと言うことを知っているので痛くない程度に伸ばす。

…あんま伸びないな……。

「伸びないって思った？この完璧な小顔に贅肉が付いてるわけないでしょ」

ニヨニヨとぼくを見てくる尊に本気で頬をつねってやろうかと思ったけど泣かしたいわけでもないので手を離す。

「ほんと、ぼくの前だとナルシスト隠さなくなったよね」

「ナルシストじゃないよ、客観的に見た事実だもん
何よりあのクソ親父の遺伝子を一寸も感じさせないこの見た目を維持している努力を褒めて欲しい」

真顔で言いきる尊に、本当父親嫌いのマザコンだなと感じる。
見た目は本人の言う通り、圧倒的な美少女とも美少年とも見える外見だ。
でも、中身が残念だからこうして仲良くなれたんだろうとか、僕らしくない思考に行き着き少し違和感。

「そのクソ親父さんは、結局あの見学の後どうしたの」

「ん？ボーダー辞めろって言ってきた」

「…は？何それ聞いてない」

「言ってないからね！あ、待って、本気でつねろうとしないで、痛いのはダメなんだって、ほんとに！！」

僕がまた顔に手を伸ばそうとしたら、さっきとうって変わって明らかに身を引き既に涙目になって謝ってくる。
なんで痛い様につねろうとしたって分かったんだろう。

「で、理由は？」

「それがなんかよく分かんないんだよね…
跡取りに危険が〜とか、どうとか…ベイルアウト機能にはちゃんと説明したのにさ…

だから、あと継ぐ気も無いしボーダーが今の僕の生き甲斐ですし辞めるならロシアに高飛びして軍の外国人部隊に入隊しますって言ったら諦めてくれた」

「…簡潔にまとめ過ぎてて逆にわけわかんない」

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