【WT】唯我尊に生まれましたけども2【出水寄り】 (ページ15)

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(時枝充視点)

下校中、いつもの寂れた公園前を横切る時、いつもとちがう光景にギョッとした。

…猫が沢山居る。

それも、みんなリラックスしたふうに。

この公園で猫どころか人すら見たことはなかったのに、なんでこんなに猫が？
そう思って、思わず猫が集まっている中心に近づく。
猫達は逃げる様子を見せない。

ベンチの上には、数匹の猫と一緒に眠る尊の姿があった。
…え、何してるの？

唯我尊、所謂御曹司。防衛任務で何度か一緒になって話す事もあった。
初対面あまりお金持ちっぽく無いなと思ったが、仕草などは洗礼されていて、やっぱりお坊ちゃんなんだなぁ…と感じさせられる事が多々あった。

そんな彼が、少し汚いベンチに堂々と寝て、猫に囲まれている。
…なまじ見た目が良いので、まるでそこだけ違う世界のようだ。

こういうの写真に撮ったらすごく売れそうだな…つい最近俺は嵐山隊として少しずつ広報活動に出るようになったが、絶対尊の方がビジュアル的にも話題性的にもアイドル枠向いていると思う。

そんな事を考えつつも、このままこんな場所で寝ていたら危ないと思い、気持ちよさそうに寝ているところ申し訳ないが肩をゆすろうとした。

「～ッ！？」

俺の手が触れるより先に、尊は跳ね起き、猫達を抱えその場から飛びのいていた。
俺と尊に一メートル以上の距離が一瞬で開く。
…生身、だよね？

「あ……あれ？時枝、さん……？…あ、すみません！僕、寝て……あああ……」

段々状況を理解したのか、尊は顔を赤くしたり青くしながらゆっくり土下座の態勢になる。
いやいや、さすがにそれはちょっと。

「尊、俺は気にしてないから、それにいつまでも地面にいたら汚れちゃうよ」

腕を掴み、なんとか立たせる。

今度は逃げられなかった。

「本当にすみません…失礼な態度を…」

「いや、寧ろ感心したよ、すごい反射速度だったね」

一瞬トリオン体なのかと疑うレベルだった…いや、トリオン体の尊の動きはもっと速いか。

「あ、ありがとうござい、ます…？」

戸惑った表情でお礼を言った尊に抱えられていた猫が一匹、にゃあと声をあげる。

「わ、わ、ごめんね、みんな寝てたのに驚いたよね…」

尊は猫達を地面に下ろし、頭を撫でる。
猫達はそんな尊に擦り寄る。

「…尊って、猫に好かれるサイドエフェクトとか持ってるの？」

「えっ、そんなサイドエフェクトあるんですか？！」

何故か期待した目でこっちを見られた。